障害があっても職場に定着できるよう支援するサービスが創設された|翔泳社の本

障害があっても職場に定着できるよう支援するサービスが創設された

2018/01/15 09:00

 2018年4月1日に、改正された障害者総合支援法が施行されます。障害のある人たちが孤立せずに地域で暮らせるよう、いろんなサービスの仕組みを定めたこの法律の概要を解説する連載の第5回をお届けします。今回は軽い知的障害がある人が職場にしっかり「定着」できるようサポートしてくれる新しいサービス「就労定着支援」についてです(※以下は『これならわかる<スッキリ図解>障害者総合支援法 第2版』から本文を抜粋し、紹介しています)。

働いてはみたものの……

 障害者総合支援法では、就労に向けた支援サービスが設定されており、利用者それぞれの状況によって施設内での作業を中心にしたものや、就職支援を中心にしたものがあります。これまで多くの人が就労支援を受け、一般企業などに就職していきました。

 しかし、その一方で問題視されているのが、いわゆる「出戻り」です。「一度就職したものの、企業の業務についていけない」「日常生活のリズムが狂ってしまって仕事に行けなくなってしまった」など、一度就労支援を受けて外に出たものの、また施設に戻ってきてしまうのです。

 もちろん就労移行支援事業所なども就職してからの生活の変化等も加味して事業所内での支援を行っていますし、退所後の支援も行っています。しかし、少ない人員で施設を動かしているなか、今いる施設の利用者の支援を行いながら増え続ける退所者への支援を、一定期間だけならまだしも、ずっとし続けるということは現実的に困難です。

就労定着支援とは
就労定着支援とは

主に「生活面」をフォロー

 就労に必要な技能自体は、就労移行支援などで訓練してきているわけですし、就職した業種によって必要な能力は異なります。新たに必要となる技術は、企業ごとでのOJT(職場内教育)などによって訓練していただければいいのですが、生活習慣まではそういうわけにはいきません。

 そこで、今回の就労定着支援は、就労に必要な技能についての支援ではなく、主に就労に伴って出てきた生活面の課題をフォローするために創設されました。具体的には「慣れない仕事で疲れてしまって遅刻や欠勤が増えた」「薬を飲み忘れるようになってしまった」「多くのお金が手元に来るようになり、計画的にお金が使えなくなってしまった」など、働き続けるための生活習慣を働きながら身につけてもらう支援といえます。

就労定着支援とは
これならわかる〈スッキリ図解〉障害者総合支援法 第2版
これならわかる〈スッキリ図解〉障害者総合支援法 第2版

著者:鈴木裕介、遠山真世 編集:二本柳覚
発売日:2018年1月31日(水)
価格:1,944円(税込)

本書について

本書は専門職として制度について知っておくべき人、サービス事業者、相談支援専門員、医療職、自治体福祉関係者のほかにも、利用者本人や家族、障害者を支援する企業の担当者、申請をサポートする士業、福祉を勉強する学生さんなどにとっても、制度の概要や利用方法についてスッキリわかる一冊となっています。