ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞 2023
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特別ゲスト

プレゼン大会に審査員として参加いただく特別ゲストの紹介です。おすすめ本をご紹介いただいています。

角谷信太郎(かくたにしんたろう)さん

個人事業主、Rubyist-ist
過去のITエンジニア本大賞では手がけた書籍が4冊ベスト10に入賞している(『アジャイルサムライ』『リーン開発の現場』『Clean Agile』『ユニコーン企業のひみつ』)。2022年は「翻訳協力者」という不思議なご縁で『達人プログラマー(第2版)』をプレゼンして技術書部門大賞を受賞(光栄です)。今年本当のお勧めは自分で訳している『研鑽Rubyプログラミング』(ラムダノート社刊)。

角谷さんおすすめの本

チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計

アジャイル、リーン、DevOpsムーブメントの教訓は、現代のソフトウェアのデリバリーでは動的な適応が求められることと、組織的にデリバリーするソフトウェアの構造は依然として「組織の構造をそっくりまねたものになってしまう」というコンウェイの法則の下にあることです。本書が提唱する、従来型の静的な「組織図」に代わる、チームを基本単位とした動的な「トポロジー」のモデルは現代のソフトウェアをデリバリーする組織構造の編成に役立つ手応えを感じています。

ソフトウェアアーキテクチャ・ハードパーツ

アジャイルなビジネスのためにはソフトウェアアーキテクチャ構造もアジャイルである必要があるわけですが、個別のアーキテクチャはひとつとして同じものはない「雪の結晶」なので、その判断にはただただトレードオフしかない、と幅広く判断材料を提供してくれます。本書で「ハードパーツ」として扱っている、後から変えづらい硬さ(ハード)と「google検索しても答えが見つからない」難しさ(ハード)を持つ「分解と統合」に悩むソフトウェアエンジニアは多いはず。個人的にはデータ分解とトランザクションの話題が気に入っています。

マネジメント3.0  適応力の高いチームを育むための6つの視点

アジリティを獲得した組織では「コミュニケーションはネットワークを通じて流れ、権限は階層を通じて流れる」ので、そうした環境を生み出し整備するのがマネジメントの役割であり、そのためには静的・機械的観点から動的・有機体的な観点への転換が必要、という理論を改めて整理して伝えてくれます。原副題の「アジャイル開発者をリードし、アジャイルリーダーを育む」が本書のスコープです。本書は理論が中心ですが、同じ著者の『マネージング・フォー・ハピネス』はプラクティスやエピソードが中心なので、お好みにあわせてそちらもどうぞ。

Clean Craftsmanship 規律、基準、倫理

ますますソフトウェアが重要になっていく現代は、著者に言わせれば「我々プログラマーが世界を支配してい」ます。大いなる力を持つプログラマーには大いなる責任が伴います。我々にはクラフトマンシップ(職人気質)が必要であり、厳しい規律、高い基準、誠実な倫理をひとりひとりが身につけることは、単なる理想ではなく業界の健全な発展に欠かせません。チームもマネジメントもアーキテクチャも「雪の結晶」で、我々プログラマーもひとりとして同じ人間はいないのですが、キャリアとしてのプログラマーはどんな「結晶」であるべきかを、個人で、チームで、組織で考えてもらえるといいなと思います

小城久美子(こしろくみこ)さん

プロダクトマネージャー
プロダクトづくりの知見の体系化を試みるプロダクトマネージャー。書籍『プロダクトマネジメントのすべて』共著者であり、日本最大級のプロダクトづくりコミュニティ「プロダクト筋トレ」の主催者。 経歴としては、ソフトウェアエンジニア、スクラムマスターなどの開発職を経験後、プロダクトマネージャーに転身し、現在は主に企業向けプロダクトマネジメント研修講師やプロダクト戦略の仮説検証の伴走を実施している。

小城さんおすすめの本

Lean UX 第3版

2022年はただプロダクトを作るのではなく、どんなアウトカムを出すために機能を追加するのか?が様々な方向から語られた年だったのではないだろうか。この本はユーザー体験に焦点を当てて、組織としてアウトカムベースに思考するための具体的なステップが語られている。この本の魅力はその具体性であり、読みながら実践可能である程に噛み砕かれている。UXと書かれているが決してデザイナーだけの本ではなく、プロダクトチーム全員が知っておくべき内容である。

ラディカル・プロダクト・シンキング
イノベーティブなソフトウェア・サービスを生み出す5つのステップ

この本には「リーンとアジャイルに目的地を示す力はない。 」と書かれている。これは否定するものではなく、リーンとアジャイルに目的地となるラディカル・プロダクト・シンキングを追加することでプロダクトを作る方針を与えることを推奨するものだ。どうして今、その機能を実装すべきなのか、どうしてその仕様なのか、重要な意思決定の礎となるプロダクトのビジョンについて最も詳しく書かれた本であるのではないか。

チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計

恥ずかしながら私はこれまでチームに関する意見を経験からくる肌感と誰かのメンツを元に口にしていた。それはチームについて学ぶ手段が少なく、エンジニアがチームについて話す共通言語がなかったからだと感じている。この本には4つのチームタイプと3つのインタラクションモードが書かれており、自分たちが置かれた状況に合わせてチームとチーム間のコミュニケーションを改善するきっかけの糸口になる。チームで輪読し、共通言語にしておくとよいだろう。