推薦書紹介

マーケティング業界で実務家として活躍される方々に推薦書をご紹介いただいています。

有園 雄一

日本マイクロソフト株式会社
Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会社(現ヤフー株式会社)、グーグル株式会社(SalesStrategy and Planning/戦略企画担当)、アタラ合同会社COOなどを経て現職。2004年、検索キーワード入りテレビCMを考案、日本で最初にトヨタ自動車「イスト」CMが採用。2014年、Dual AISAS Modelを提唱。株式会社テレビ朝日の番組「#モデる 」では番組企画を支援し、DualAISAS Modelを利用して、「テレビ番組-テレビCM-SNS-ウェブサイト-EC/店舗」の連携を意図したコミュニケーション設計を行う。2016年~現在、zonari合同会社 代表執行役社長。2016〜19年、株式会社電通デジタル客員エグゼクティブコンサルタント。2018年、アタラ合同会社フェローに就任。2018年度 株式会社電通 電通総研 カウンセル兼フェロー。2020〜2021年、株式会社ビービット マーケティング責任者。2019〜2022年、電通総研パートナー・プロデューサー。2022年8月~、Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan。

有園 雄一さんおすすめの本

オペレーションの思想 戦後日本美術史における見えない手

オペレーションをAIに置き換える動きが加速している。だが、どこからどこまでをAIに任せて、どの部分を人間が処理するのか。社内にある既存のオペレーションフロー図などは概要設計しか記載されていない。そのため、オペレーション実態の「見える化」が全世界で課題となっている。本書は米国エンジニアの間でいま、密かに注目されている富井玲子氏の書。1988年からニューヨーク在住の美術史家で、「Radicalism in the Wilderness: International Contemporaneity and 1960s Art in Japan」(未邦訳)の続編だ。「戦後日本美術史における見えない手 」と副題にある通り、「見えない」オペレーションを見える化する。「見える化」無くしてAI化できない。 「端的に言えば、オペレーションとは表現を社会化( socialization)する個々の営為や回路であり、そうした社会化の総体である」<—『オペレーションの思想 戦後日本美術史における見えない手』富井玲子著 https://a.co/3gteHW1 > この発想は、美術業界に留まらない。すべての表現、広告・マーケティングに必須なものになる。


廣澤 祐

花王株式会社
デジタル戦略部門

2015年に花王へ新卒入社しデジタルマーケティングを3年経験したのち、化粧品ブランドのマーケティングに3年従事。2021年1月より新設されたDX部門にてデジタル化推進を担当、その後、組織の体制変更などに伴い2025年1月より現職。 2021年に一橋大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了したのち、現在は同大学院の博士後期課程に在籍しイノベーション・マネジメント / MOTの研究に従事。 Advertising Week AsiaのAdvisory Coucileをはじめ、各種イベントへの協力や、メディアへの寄稿など多数。

廣澤 祐さんおすすめの本

コトラー&ケラー&チェルネフ マーケティング・マネジメント 〔原書16版〕

本書はマーケティング業務に携わる者にとって、最も基本となる教科書『マーケティング・マネジメント』の最新版です。過去の版を含め、本書を読破できたか否かはさておき、マーケティングに関わる者なら本書には必ず触れたことがあるのではないでしょうか。 初版から本書は何度も改訂されており、2022年に発売された翻訳本は16版です。過去の版に比べて構成なども見直され読みやすく改良されているだけでなく、紹介される概念やフレームワークも、時代に合わせて見直されています。 マーケティングの古典から現代の世界標準のセオリーまで、できるだけ効率的かつ体系的に知るならば、本書以外の選択はないでしょう。 本書はマーケティングの守破離の守が凝縮されているので、本企画の趣旨に最もふさわしい書籍ではないかと思います。


米田 恵美子

株式会社インサイト・ピークス
代表取締役社長

P&G消費者/市場戦略本部(CMK)において、新商品開発やマーケティング戦略におけるインサイト活用を牽引。執行役員として売り上げ・利益伸長に貢献し、P&Gを卒業。ゲーム業界や外食業界でマーケティング・広報本部長としてマーケットインの発想・戦略・企画を展開した後、コンサルティング会社を設立。現在は、アサヒグループ各社やマクロミルの常任顧問を含め、様々な企業のコンサルティングを担っている。

米田 恵美子さんおすすめの本

営業戦略大全 世界レベルの利益体質をつくる科学的ノウハウ

色々な企業の方々から相談を受ける中、顧客目線の価値創造を推し進めようとするマーケティング実務者に共通するお悩みの1つに「営業との意思疎通・連携」がある。重要視している「顧客」がユーザーなのか流通なのかで価値観や優先順位が違ってくると、社内で一気通貫したマーケティング戦略を遂行することが非常に困難になるのだ。この本は「マーケティング思考の営業」という、ユーザー価値をベースにして、ユーザー・流通・メーカーのトリプルWINを引き出す営業戦略を紹介していて、P&Gにおけるマーケティングと営業の一気通貫戦略の秘訣を分かりやすく説明してくれている。営業との連携を強めたいマーケターには是非読んでいただきたい。


高広 伯彦

同志社大学大学院ビジネス研究科
教授

MBA教員。1970年大阪府生まれ。関西学院大学卒、同志社大学大学院で社会学修士、京都大学大学院で博士(経営科学)を取得。博報堂、電通、Googleでマーケティングやデジタル事業開発に従事後、独立。スケダチ代表などを務め、企業のマーケティング戦略や事業開発を支援。現在は同志社大学大学院ビジネス研究科教授、社会構想大学院大学特任教授として、デジタルやBtoBマーケティングを専門に教え後進を育成している。マーケティング&事業開発支援も継続中。

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エッセンシャル マーケティング

昨今のマーケティング理論の発展と周辺領域からの新しい概念を交え、従来の「マーケティングの教科書」から再構築・アップデートされた「マーケティングの教科書」。本書では、確立された古典的なマーケティングの基礎理論に加え、現代ビジネスの潮流を的確に捉えた、マーケティングの全体構造がわかるようになっている。また、「教科書」ではあるものの、実践的なフレームワークも含まれており、実務家の日々の業務に役立つヒントも多い。適切に構成された書籍で裏付けのある概念や理論を学ぶことは、変化の激しい市場において成果を出し続けるための羅針盤として必要だと思われるので、推薦させていただきます。


白石 愛美

株式会社Amplify Asia 代表取締役/株式会社YUIDEA 社外CMO

WPPグループにて、リサーチャーとして主にマーケティングおよびPR関連プロジェクトに従事。 その後、人事コンサルティング会社、電通アイソバーの広報を経て、ダイバーシティを起点に企業のマーケティングをサポートする株式会社Amplify Asiaを立ち上げる。2024年10月より、株式会社YUIDEAの社外CMOに就任。

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ニューワード ニューワールド 言葉をアップデートし、世界を再定義する

多様性が前提となった今、社会の至るところで生まれる新しい言葉は、新しい価値観と出会うための入り口です。本書は、Z世代を中心に、変化の激しい時代に生まれた感性や社会観を「新しい言葉」から丁寧に紐解き、「今」を生きる生活者の内面に深く迫ります。私自身、育児と仕事の両立に悩んでいた10年以上前に、当時は新しかった「ワンオペ」という言葉に出会い、言語化できなかったモヤモヤの正体が腑に落ちた経験があります。こうした感情や状況に形をつける言葉は、自己理解を促し、他者との共感を生む貴重なツールです。マーケターにとって、自らの感性を耕し、生活者との対話を深めるためのヒントが詰まった一冊です。


音部 大輔

株式会社クー・マーケティング・カンパニー
代表取締役

17年間の日米P&Gを経て、ユニリーバや資生堂などでマーケティング担当副社長やCMOを歴任。2018年より現職。家電、食品、日用品、広告会社など国内外の多様な企業に組織強化やブランド強化の支援を提供。博士(経営学 神戸大学)。著書に『The Art of Marketing - マーケティングの技法』(宣伝会議、日本マーケティング学会「日本マーケティング本大賞」で2022年の大賞受賞)、『君は戦略を立てることができるか』(宣伝会議)などがある。

音部 大輔さんおすすめの本

進化するブランド オートポイエーシスと中動態の世界

ブランドを確立することのビジネス上の意義は、消費者の満足にもとづいて高い利益を生み出す点にあります。なかでも、長く市場に存在しているブランドは、過去のマーケティング投資や、消費者の使用体験の蓄積が大きく、ブランドを持つことの価値がさらに高まる傾向にあります。 ブランドが意味を保ちながら進化していく過程については、同じ著者による1999年の名著『ブランド 価値の創造』で提示されている、「製品指示型ブランド」が「ブランドネクサス型ブランド」へと変化していく様子が、きわめてダイナミックな進化として理解できます。 本書は、日本を代表するブランド研究の第一人者による、時代を超えて読み継がれるべき一冊です。


川上 エリカ

エンハンプ株式会社 代表取締役/ゼロワングロース株式会社 取締役 CRO

外資系IT企業でエンタープライズセールス、セールスイネーブルメント、営業・インサイドセールス・マーケティング責任者を経験。現在はエンハンプ代表取締役、ゼロワングロース取締役CROとしてデジタル人材の育成やGTM戦略策定、レベニューオペレーションモデルの設計構築を支援。著書に『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。

川上 エリカさんおすすめの本

最高を超える

マーケティングど真ん中の話ではありませんが、組織に火をつけたいときにこそ読んでほしい一冊です。Snowflakeをはじめ、複数のテック企業を急成長に導いた著者Frank Slootmanが語るのは、「高い基準」「スピード」「説明責任」を軸にした変革の原則。マーケティング組織や営業組織が停滞している、既存の枠組みの中から抜け出せていない、そのような現場に強烈な刺激を与えてくれます。組織変革の必要性を感じているマーケターやリーダーに響く内容です。


松本 健太郎

株式会社グロースX
執行役員

龍谷大学法学部卒業後、エンジニア業務に従事。データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院でリスキリング。その後、消費者インサイト等の業務に携わり、2023年1月にグロースXへジョイン。 主な著書に『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)、『なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~』(光文社)など。

松本 健太郎さんおすすめの本

新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと

本書は、単なる「バズの生み方」を解説した本では無い。苦境に喘ぐ業界のDX解説でもあるし、異なるプラットフォームでのサービス・チューニングの話でもある。何より、コンテンツの作り方を真正面から問うた本だ。オウンドメディアに限った話では無い。特にデジタルに限らず商品・サービスを提供している企業のマーケターには読んで欲しい。 文中で筆者は「新聞はこれまで、読者のことを考えて来たのだろうか」と問う。とても重要な指摘である。様々な制約事項があり、顧客が必ずしも語られていない業界は多い。 その意味で、この書籍は「読者を中心に据えたら、今までのアプローチが通用しなくて大変だった人の試行錯誤体験談」でもある。


阿佐見 綾香

株式会社電通
第4マーケティング局 マーケティング・コンサルタント

早稲田大学卒業後、2009年電通入社。以来、マーケティング・コンサルタントとして企業のマーケティング、経営戦略、事業・商品開発、リサーチ、企画プランニングに従事。著書に累計3万部越えのベストセラー『電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術』(PHP研究所)、共著に『センスのよい考えには、「型」がある 感覚を言語化するインサイト思考』(サンマーク出版)がある。

阿佐見 綾香さんおすすめの本

ブランディングの誤解 P&Gでの失敗でたどり着いた本質

この本の魅力は、事例の豊富さとリアルさ。マーケターとして知っておきたい有名ブランドの失敗事例に加え、著者・西口一希氏のP&G在籍時代の失敗経験が赤裸々に語られています。マーケティングの実務者にとっては「あるある」と感じる場面も多く、共感しながら学べると思います。よく知られている商品やブランドの具体的な事例が多く、マーケティング初心者にも読みやすい内容になっており、理論だけではわかりづらい“ブランドづくりの落とし穴”を実感を持って理解できます。 表層的な“らしさ”づくりではなく、顧客にどう記憶され、どう選ばれるかを突き詰めていくプロセスは、どのフェーズのマーケターにも学びの多い内容だと思います。


飯髙 悠太

株式会社GiftX
代表取締役

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現在、企業のアドバイザーやマーケティング支援も実施。 著書に『僕らはSNSでモノを買う』『SNSマーケティング7つの鉄則』 『BtoBマーケティングの基礎知識』『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』

飯髙 悠太さんおすすめの本

急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略 頭に浮かべば、モノは売れる

2025年5月に出版された書籍で新しいのですが、とても参考になったので推薦します。 「〇〇と言えば、〇〇」という例え話はよくありますが、そこがカテゴリ戦略の本質であり、ナンバーワンになるための道筋である人々の課題をどう解決し、どう価値提供するか、価値に名前を与え、イメージを作る。どんなにいいサービスでも顧客が知ってくれている・思い出してくれるがなければ選ばれることはない。などなど。 事業を成長させたいと考えている方やカテゴリー戦略やを学びたいと思う方は、手に取っていただきたい1冊。理論だけでなく実践的かつ体系的にまとめられているのでおすすめします。


古市 優子

Comexposium Japan株式会社
代表取締役社長

慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、サイバーエージェントを経て2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、2019年に同社代表取締役社長に就任。欧州大手イベントオーガナイザーComexposium Groupにおける最年少Managing Directorとなる。日本国内では主に ad:tech tokyoをはじめとした、マーケティング・広告・コマース・デジタル領域のカンファレンスの企画運営を総指揮。2022年以降はビジネスイベントのプロフェッショナルとして従事する傍ら、企業の社外取締役や、全米広告主協会が取り組む「SEEHER」推進役も兼務。日本の組織や社会におけるDE&Iの推進に向けて、各種講演やアドバイザー業務など、精力的に活動中。趣味は旅行とワイン。

古市 優子さんおすすめの本

WHYから始めよ!インスパイア型リーダーはここが違う

尊敬するアメリカ人のマーケターに教えてもらい手にとった一冊です。 仕事柄たくさんの情報を日々浴びていると、つい「What」に意識が向きがちですが、この本は「Why(なぜやるのか)」という視点を取り戻させてくれます。マーケティングへの活用はもちろんのこと、ビジネスリーダーとして人にどう寄り添うかについても多く言及されています。 “People don’t buy what you do, they buy why you do it.” 英語も平易で読みやすく、英語学習を兼ねた読書としてもおすすめです。 (※事務局注:原書のStart with Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Take Actionでは英文です)


中山 順司

スキナヒト製作所
代表

SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、Six Apart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計 / 企画 / 執筆 / 編集 / 分析 / 改善 / SEO を幅広く行う。

中山 順司さんおすすめの本

生成AIと脳~この二つのコラボで人生が変わる~

神経生理学が専門の東大教授による一冊。生成AIの基本から活用法、さらに人間の脳とAIが協働して未来をどう築くかという考察にまで踏み込んでおり、単なる技術解説にとどまらない深みがあります。文系マーケターでもスラスラ読める構成で、読み終えるころには「マーケターが生成AIを使わないなんてありえない」と思わされるはず。「手っ取り早く使い方を学ぶ実用書」ではなく、「これからの働き方を根本から見直すための思考を促す一冊」と言えます。


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