ただいま本を建築中!|翔泳社の本
  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. ただいま本を建築中!

ただいま本を建築中! 2013.02.01

 こんにちは、新入社員の門松です。書籍編集部に配属されてから7カ月が経ち、わたしも1~2カ月に1回、本を刊行するようになりました。「脳みそがあと3つくらいほしい……。」と弱音も吐きつつ、どんどんおもしろくなっていく本づくりの様子をお届けします。よろしくお願いします。

「……。」

 固まりました。一度部屋の一番奥の壁を見て、目の筋肉をゆるめてからもう一度パソコンに目を戻し、「がーん。」とだけ、脳内でつぶやけました。

 本の紙面の一番はじめの段階は、著者さんにいただいた原稿を、紙面の構成要素(タイトル、リード文、見出し、小見出し、手順など)別に整理したテキスト原稿です。この整理した原稿と、紙面デザインのフォーマット(基本形)をDTPさんにお渡しして、組んでいただいて、初めて紙面ができあがります。

 なのでこの原稿整理がぐちゃぐちゃだと、ぐちゃぐちゃの紙面になってしまうのです。そして原稿整理をしっかりするためには紙面の構成要素がしっかり定まっていないといけません。


紙面ができるまで

 企画が通り、はじめてゼロからフォーマットを決めました。目次案を見ながら「ここは基礎だから丁寧に説明できるように、手順のスペースにゆとりをもたせよう」「ここは辞書的に使いたいから大見出しを付け加えよう」とひとつひとつ、要素を決めていきます。

 著者さん、デザイナーさんと相談しながらようやくフォーマットが固まり、1章分の原稿とフォーマットをDTPさんにお渡ししました。が、もどってきたのはピカピカな紙面、ではなくDTPさんが赤字をたくさん入れてくださった、ぐちゃぐちゃな紙面でした。

 「なぞの要素があります。」「原稿が長いのでここのデザインくずれます。」「この要素のデザイン指定がありません。」

「……。」

 やりなおしです。DTPさん、デザイナーさんにもう一度ご指導いただき、再度フォーマットを固め、ようやくスタート地点に立ちました。

 ……こわかった。大事な柱が足りないと、すこしの揺れでも倒壊する建物のように、大事な要素が足りないと、本もばたばたと崩壊してしまうことを痛感しました。

 ……こわかった。たくさん助けていただいて、すこしずつすこしずつ、土台、柱、壁、とそろってきました。ピカピカの紙面めざして、これから組み立てていきます。


ただいま安全性チェック中

 お正月も終わり、編集部にたくさんの年賀状書籍の読者アンケートのはがきが届きました。実際に本書でつくった年賀状を送ってくださる方もいました。「家族みんなで何種類もつくりました!」「70歳だけどパソコンでさくっと作れてうれしかった」「へびだけどかわいかったです」等々たくさんの読者の方の感想を読み、じわ~っとうれしい気持ちでいっぱいになりました。

 地味な作業多いし、決めなければいけない小さいことがたくさんあるし、小さいけれど全体に影響するし、もう全部投げ出して逃げてしまいたい……と思う夜もありますが、やっぱりいいものをつくりたい。と、ここにいる幸せを感じた2013年1月。2月になってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。


たくさんのはがきが届きました