絵描き志望者がIT系出版社で……|翔泳社の本
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絵描き志望者がIT系出版社で…… 2013.04.04

 どちらかと言えば理系イメージが強いであろう弊社ですが、社長は美大出の元デザイナー。翔泳社黎明期には、雑誌の紙面から何からデザインしていたという御仁です。かく言うわたくしも美大で絵描きを目指していたという、気の遠くなるようなど文系(※入社後に知ったのですが、社長は大学の先輩です)。では元絵描き志望がIT系出版社で一体何をやっておるのか……というと、「デザイン書」を作っています。

 「魚のさばき方を覚えたいなあ」「電子回路の設計を学びたいなあ」等々みなさまのさまざまなご要望に対して、本の形でお役に立とうというのが実用書です。そんな中で「デザインや絵がうまくなりたいなあ」「Adobeソフト使いこなせんなあ」「レイアウトどうにかならんか」等、クリエイターさんのニーズにお答えするのがデザイン書となります。

 弊社社長が現役デザイナーであったころ、印刷物のデザインは、写植・版下で作成していたそうですが、時代は流れ、写植機は消え、歯送り計算も必要なくなり、現場は続々とMacintoshを導入し、デザインとパソコンは切っても切れぬものとなりました。

 そんなわけで、文系といえどもパソコンを使いこなす必要性が出てき、Adobe製品の解説書をはじめとした「PCデザイン書」がたくさん出版されました。手前味噌ですが『逆引きデザイン事典』シリーズや『標準デザイン講座』シリーズなどを、ご覧いただいた方もいらっしゃるかと存じます。

 また昨今Webデザインの重要性もますます高まっており、デザイナーさんがJavaScriptやらPHPといったコードと対峙する時代でもあります。もはや文系・理系という分け方自体、あんまり関係ないのかもね、という気もします。文系編集者のわたくしも、もはやコンピューター言語を恐れている場合ではありません。

 とは言え、学生時代にレタリングを学習した身としては、「いやーあのころは写植機ずらして文字をぼかしたもんよ」とか「罫線をカッターで削ってミシン罫にしたりさあ」とか、「写真はエアブラシで補正した」「初めて80年代にMacintosh買ったときの興奮はさあ!」などと古きよき時代の話を聞くたびに、いいな! あたしも版下作りたい! ロットリングと雲型定規でロゴ書きたいよ! と思ったりもするのですが、やはりPhotoshopやIllustratorの便利さったらなくて、パソコンなしで本作れと言われたら涙目です。社会は良い方向に進んでいると申せましょう。

 アナログからデジタルへと手法は変遷していきますが、「良いデザインや優れたグラフィックが増えると、世の中が楽しく豊かになる」ということに時代は関係ないように思います。そのためにお仕事をされているクリエイターさんにとって、少しでもお役に立てるような本をこれからも出版していきますので、どうぞご愛顧くださいますようお願い申し上げます。

こが