雑誌7年生が書籍1年生になりました|翔泳社の本
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雑誌7年生が書籍1年生になりました 2013.11.01

 月刊ビジネス誌で編集者として7年働き、2013年5月から翔泳社に中途入社した33歳の新人Kです。実用書・ビジネス書の編集1年生として「書籍と雑誌の違い」をひしひしと感じています。その一端をご紹介いたします。

書籍はマラソン、雑誌は100メートル走

 雑誌には毎月必ず締切がきます。締切というゴールに向けて、2~3週間はとにかく電話をかけまくり、取材で歩き回ります。ある程度書く材料が揃ってきたら終電近くまで会社に残って、ゴリゴリと記事を仕上げます。とにかく瞬発力が命(週刊誌や新聞ほどではありませんが)。

 そして、無事に仕事が完了したら近くの飲み屋に繰り出して盛大に飲み、翌日は激しく二日酔いになります。締め切り後の1週間はわりと暇なので、平日の昼間から映画館に行ったり、古本屋街をウロウロしたり、立ち飲み屋に行くこともありました。(しょっちゅうではありません。念のため)

 書籍はどちらかというと1冊の本作りにじっくりと向き合い、毎日同じペースで仕事を進める面が強いように感じます。翔泳社に来てから、規則正しい生活を送っている人が多いことに驚きました。

 かつては帰宅時間がバラバラだったため、外食(という名の飲酒)ばかりしていましたが、転職してからはある程度帰宅時間が調整できるようになったため、自分で夕飯を作るようになり、買い置きした食材を腐らせることがなくなりました。このままいけば、家庭的で健康的で貯蓄ができる人間に生まれ変われそうです。

書籍は個人競技、雑誌は団体競技

 ビジネス誌には「集団で記事を作る」という雰囲気が強くあります。打ち合わせをする頻度が高いだけでなく、記事作成の手伝いに駆り出されることもよくありました。共同作業が多かったせいかお互いの距離感も近く、仕事中もよく雑談していました。

「原稿が送られてくるまで暇だな。おい、K、酒買ってこい」
「Kが担当している連載ページだけど、最近、マンネリじゃないか?」
「なんで名古屋出張でわざわざ宿泊してるんだよ。夜遊びしてるんじゃないか」
などなど、真面目な話題が2割、時間つぶしのような話題が8割といった感じでした。

 対照的に、書籍編集部というのは「個人商店」の集まりです。1冊の本を担当する編集者は1人だから当然ですね。何かを一緒に作り上げるという仕事は減りましたが、その分、他部署でヒットを飛ばしている編集者の仕事ぶりを見ているといい刺激になり、自分もがんばろう!という気にさせられます。

 自分の担当とは違うPC系、デザイン系、資格系の編集者と話をすると、同じ本でもこんなに必要なスキルが違うのだと気づかされます。

 普段の仕事場では皆さん(私も含め)黙々と仕事をしているのですが、喫煙室(などの気兼ねなくバカ話できる場所)では、好き勝手おしゃべりしています。前職のように職場でダラダラと話して夜遅くまで残るより、ONとOFFの区別がつきますし、仕事も効率的に進められます。

 今にして思うと雑誌作りというのはヤクザな商売でした。翔泳社に転職したのも、「雑誌でない新しい仕事をしてみたい」「別の編集部での経験を積んでみたい」という思いからでした。転職を機に、じっくり腰を据えて仕事に取り組み、規則正しく生活するというスタイルを身につけようと思います。

PS. 画像は、もっか絶賛編集中の担当書籍『年収300万の残念な働き方 1万人に会って分かった年収の壁を打ち破る方法』のイメージ図。

こん