情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2022年版 追加情報|翔泳社の本

情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2022年版 追加情報

読者の勉強方法-合格体験記-

 これまで,本書の~2020年版に掲載していた「(本書を活用して合格した受験生の)合格体験記」をまとめています。

Q1.本書のいいところはどこでしたか?

 過去問の数が多く,さらにその解答を導くための考え方が非常に丁寧に記載されている点です。ここ数年,会社の後輩にPM受験を指南する際も三好先生の書籍を利用しております。先生役となる私は,タブレットに毎週の勉強会で必要となる過去問と解答を事前にダウンロードしておき,予習をしてから勉強会の場に参加し,後輩からの質問に答えています(平成22年合格者)。

 情報処理試験の午後Ⅰ論述は正解が発表されていますが,正解に至るプロセスが理解できないことが多く,困っていました。本書の非常に丁寧な解説には,プロセスが詳細に記載されているので,どこでつまずいたのかが把握できました。  特にEVMは,繰り返し読むことで,問われるポイント,答えるエッセンスを学ぶことができ,試験でも応用できました(平成24年合格者)。

 やはり,なんといっても演習問題の解答解説にかなりのページを割かれている点でしょうか。自己採点の際に「どれくらい間違っていたか」を自分で評価できるくらい,解答の考え方を記載されていることが嬉しいです。「午後Ⅱ問題文に見るあるべき姿」もインプットの材料として活用できました。あとは,「Column」欄がモチベーションのキープに役立ちました。何のために勉強しているんだろう? という気持ちを払しょくし,気持ちを高めた記憶があります(平成26年合格者)。

 本書の優れているところは,過去問題の解説が充実していることです。特に,午後Ⅱ試験は,質の高いサンプル論文が大量に収録されています。午後Ⅱ試験で論文を書くにあたって,プロジェクトの特徴といった必須項目が存在します。私は,様々なサンプル論文から自分が論文を書きやすくなる背景や制約事項を学習しました(平成26年合格者)。

 ひとつは,「なぜその解答になるか」「なぜそのように論述するか」を徹底して解説している(出題者の視点)点です。もうひとつは,受験者の制約ありきの立場に立った上での学習方法を提案している点です。他には,本書の学習方法,および,午後Ⅰ・午後Ⅱ対策は他区分にも通用するものと思われます(午後Ⅱは論述本がでましたが)(平成26年合格者)。

 とにかく情報量の多いところです。各テーマのきめ細かい解説と読者特典の過去問&解説はとても助かりました。PDFファイルの過去問&解説を全部タブレット端末に入れて通勤電車内で読み込みました(平成26年合格者)。

 午後Ⅰや午後Ⅱの考え方や解き方がわかりやすく掲載されていて良かったです(平成27年合格者)。

 PM試験を勉強する意義を三好先生が語ってくれるので大いに勇気づけられる所です(平成27年合格者)。

受験開始後の最初の3年間は,
 1年目:「第一種受験時に利用した出版社の問題集と論文参考例を頼りにしての学習」
 2年目:上記+「模擬試験を組み合わせた学習」
 3年目:上記+「通信教育を加えての学習」
と年々レベルアップを図ったつもりでいたものの,毎回,午後Ⅰで不合格という結果でした。本書に出会ったのは,4度目の受験の約4か月前でしたが,そこで体系化の重要性に気付き,慌てて重要ポイントの暗記に取り組んだものの,試験までには間に合わず,その年も午後Ⅰで不合格という結果でした。ただ,本書との出会いによって,うすうす感じていた「問題には3?4つ程度の型がある」という事に確信が持てた事は大きな収穫で,以降は解答時に迷う事が少なくなりました。また,本書から次の様な情報を得た事で,苦手としていた午後Ⅰで,それまでは50点台で足踏みしていた状態から抜け出して,一気に70点台まで得点アップを図る事ができました。
・解答が一意に絞り込める分かりやすい…設問以外に,別のパターンの設問が半数以上存在する事もあるので,その時点でのベストな解答を確定させて次の小問に進むという割り切りが必要となる。
・文中の言葉を使い,指定された文字数…の8割以上を記述すれば,たとえ部分点であったとしても,得点の可能性が高まる。
(平成28年合格者)

 本書で特に役に立ったことは過去問題の解説です。解説には解答を出すまでのプロセスが載っているため,過去問題を解いたときに自分がなぜ解答を間違ったのか見直すことができました。PMの実務経験がないため,PMの立場としての考え方を知れたことが大変役に立ちました(平成29年合格者)。

 圧倒的な問題量と,詳しい解説がある事だと思います。これにより,人それぞれの勉強スタイルに合わせる事が出来ると思います(平成29年合格者)。

 論述式試験区分の解き方について,重点的に解説してくれているところです。特に論述式の試験区分が初めての方は「必読」と言っても過言ではありません。「論述式はちょっと…」と,レベル4の情報処理技術者試験の受験に苦手意識をお持ちの方は,是非本書を薦めたいです。私も論述式を避けていた人間ですが,本書で論述式の解き方を学んだ事で,苦手意識が無くなったばかりか,SM,SA,ST等他の論述式試験にもチャレンジしたいと思う程になりました(平成30年合格者)。

 豊富な午後問題とサンプル論文のわかりやすい解説です。本に載っていない過去の問題の解説もダウンロードでき,初めての論文試験でしたが,論文の言い回しや構成のパターンを知ることができました。そして,知識エリアごとに整理された構成もよいです。YouTubeで公開されている解説動画を本書と合わせることでとても分かりやすくなります。特にプロマネ経験が少ない人は,繰り返し聞くのが絶対オススメです。
※ 論文を書いていると,三好さんが「それ,いつ? 誰が? 納期は? リスクは?」とか脳内でツッコミを入れてくれるようになりました(平成30年合格者)。

 ただ問題集として過去問題と解答を載せる本が多かったりするのですが,この本のいいところは試験を受ける人の”モチベーション”を高めてくれるところだと思います。この本の序章には,「合格するためにやるべき事」が書かれていて,どうすれば午後Ⅰの記述試験を突破できるか? 午後Ⅱの3000字弱の論文をどう乗り越えればいいのか? この一見かなり難しそうな試験のハードルを下げてくれて,試験に対するモチベーションを高めてくれたのがこの本だと思ってます(平成31年合格者)。

 とにかく問題数,解説数が豊富であること。書籍よりもダウンロードした解説を使っている時間が長い程。また,手書きの解説があることで,実際のテストを想定した解答までのプロセスがとてもわかり易かったです。また,序章の体験記や,三好先生の言葉に勇気付けられ,モチベーションを維持することもできました。YouTubeに特典動画があるところも助かりました。試験直前対策の動画にどれだけ勇気付けられたことか。本当に良本だと思います(平成31年合格者)。

 とにかく「合格すること」に特化している点です。序章のタイトルがずばり「合格するためにやるべき事」。第1章以降を読み進める途中でも,何度か序章に立ち戻りポイントを確認しました。また勉強する気が起きないときは,合格体験記だけでも読んで気持ちが切れないようにしました。勉強できない理由を見つけることは簡単ですが,勉強した時間は裏切らないことは分かっていたので,読めばやる気が起きる序章と合格体験記だけでも大変価値のあるものでした。ひたすら過去問を解く勉強スタイルのため,大量の過去問とその解説をダウンロードできるのが本当に助かりました(平成31年合格者)。

 午後試験(特に午後Ⅱ)の解説が豊富なところです。解く問題の優先度が明示されているのも大変参考になりました(平成31年合格者)。

 解説に血肉が通っているところが非常に良い。単なる教科書に終始しておらず,筆者が肌で感じたところから来る知見,感想まで織り交ぜて書かれている。その結果,読み手の方も「ここは絶対的におさえておかなければならない鉄則の部分だ」「ここはケースバイケースの話だから,事例の一つとして覚えておきつつ,本番では臨機応変に対応しよう」など,要点の強弱まで察することができる。本書はそんな「言うに言われぬコツ」みたいな部分までカバーしてくれる(平成31年合格者)。

 高度情報処理試験の最難関とも言える午後の対策について,具体的かつ合理的に記述されている点です。特に冒頭で,午後Ⅰの解答について私の課題を述べましたが,三好先生の解答を導くプロセス,「こういう解答は不正解である」とはっきりと断言して頂いた部分が非常に有効でした。過去問題の演習の過程で自己採点を甘く評価すると本試験でもおそらく合格点に達成しなかったでしょう。  午後Ⅱの論文内容についても,与件や設問を踏まえて外してはならない記述項目の助言が非常に参考になり,受験当日まで有効な準備ができました(平成31年合格者)。

 過去問および解説が豊富なことです。問題,解答,解説,答案用紙のPDFを紙に印刷し,重要なポイントは書き込み,後で見返しました。また,前述のとおり,どの問題を優先して解けばいいか示してくれている点も本書のいいところです。解ける過去問の数,勉強時間は限られていますので,「三好先生を信じて,この問題だけは確実に理解しよう」とある意味割り切って,効率よく勉強することができました。
 また,勉強がつらくなったら,この合格体験記を読んで,合格者の苦労および合格後の喜びを共有し,モチベーションを上げました(平成31年合格者)。

 付録のダウンロードも含めると過去15年分以上の過去問題の詳細な解説が得られるところです。特に,午後Ⅱのサンプル論文は非常に参考になりました。これを読み込んでおくことが合格につながったといっても過言ではないと思っています(平成31年合格者)。

Q2.本書の限界はどこで,何で補足しましたか?

 複数年の過去問と解説が書籍の形で販売されている方がいいと思う人もいますので,例えば過去問3年分を書籍にしたものを別途販売してもよいかと思います(平成22年合格者)。

 本書の限界の前に,試験までに本書をマスターできるかどうかという「私の限界」が先に来てしまいました。論文に記載する「自分の担当したプロジェクトマネジメント」の対象となるシステム,業務の知識については,本書の例を参考にしつつ,システムの解説書や,業務知識の概要解説などを参考にして作りました(平成24年合格者)。

 PMBOKに則った構成となっていてPM学習の際には良いのですが,本書を業務に活用するという観点では,開発フェーズに則った構成の方が使いやすいです。その点では『高度試験 午後Ⅱ論述』が使いやすく,並行して使用しました(平成26年合格者)。

 実務の経験が大きかったと思います。解説を読むにしても経験を思い出しながら納得して読むことができましたし,論文のネタ集めにしても過去の実務経験を参考にしました。日頃一緒に仕事をしている会社の先輩・後輩に感謝します。
 また,今回は時間制約がある中で集中的に学習した分野が出題されて合格しましたが,本当に運が良かっただけだと思っています。受験者は問題を選べない以上,運を信じて,努力を続けることが何よりも重要だと思います(平成26年合格者)。

 不足は感じませんでした。むしろ,WEB掲載の付録もあり,他の参考書に手を出す余裕がなかったです。論述本でさえ,消化不良になりそうで止めてしまいました(平成26年合格者)。

 午前Ⅰ対策は別途問題集を活用。論文試験が初めてでしたので姉妹書の『高度試験 午後Ⅱ論述』も活用しました。テーマの優先順位はこの午後Ⅱ論述本の筆者推奨の“準備すべき順番”どおりにしました(平成26年合格者)。

 本書では勉強の後押しをしてくれるコラムがたくさんありますが,勉強を習慣化し軌道に乗せてくれるところまではしてくれません。この手の勉強は軌道に乗せることができず挫折してしまうケースが多々あると思います。私の場合は,巻末のチェックリストの暗記/読み込みをやって勉強を習慣化し軌道に乗せました(平成27年合格者)。
 本書の使い方を誤ると膨大な情報量に埋もれてしまう可能性がある,というところかと思います。時間は有限であり,家族,仕事,友人,趣味など他にも優先すべきことがあるので自分に許容された勉強時間を効率使うことを意識する,また,全て完璧に準備して試験に臨むことは無理だと割り切ることが重要かと思います(平成27年合格者)。

 午後Ⅰを苦手としていた私にとっては,解答の根拠とする箇所の解説は,大変参考になるものでしたので,自分の自信を深める為にも,別紙でも構わないので,できる事なら過去5年分の全ての午後Ⅰの問題に対する解説を載せて欲しいと思いました(平成28年合格者)。

 当然ですが,本書や資格の勉強で得た知識を,その後どう活かすかは自分次第です(平成29年合格者)。

 本書の限界は自身が認識した内容が本の通りか確認できない点です。これは自身の問題でもあると思いますが,例えば自分で教科書を一通り読み終えて論文を書いてみても出題されている内容を正しく回答できていないことがありました。自身の思い違いについて自分で気づくのは難しいと思うので他の方にレビューしてもらうことが重要だと思います。私は添削サービスを利用したり姉妹書や参考書を利用したりして解決しました(平成29年合格者)。

 当たり前の話ですが,論文の書き方を学ぶ事はできても,自身の論文作成レベルがどれくらいか,書籍は評価できません。自身の課題を整理する上では,別途添削サービスを併用する必要があると考えます(平成30年合格者)。

 これは受験生の立場でのニーズですが,午後Ⅰや午後Ⅱの演習は問題や解説を手元に置いて,じっくり勉強したいものです。しかし,本紙の中には各単元で午後Ⅰも午後Ⅱも各々1つの例題しか掲載されていません。せっかくインターネットからダウンロードはできるのですから,それを書籍として,例えば「PM午後Ⅰ対策本」,「PM午後Ⅱ対策本」のように分冊にするとありがたいです。各単元で3つ程度あることが理想です。購入投資は必要にはなりますが,私はそれだけの価値がある文献であると信じています(平成30年合格者)。

 プロマネ経験のほぼ無い私に特有の話かもしれませんが,プロマネやPMBOKの用語についてある程度の経験や知識があることが前提と感じました。初めて見る用語はネットを検索して,ノートへ書きながら知識を固めました。
 また,本書から実務経験は得られません(当然ですが)。サンプルを参考にしながら論文を書いていても現実離れした内容になってしまっていました。
 幸い,周りには経験豊富なプロマネがおり,実際の経験を元にした話を聞いて論文に盛り込み,具体性やリアリティを出すことができたと思います(リスクへの具体的な対応やプラン,コンティンジェンシ予備とマネジメント予備の使い分け,請負,委任,派遣の契約の選択基準など)(平成30年合格者)。

 本書での学習に入る前に、応用情報レベルの基礎知識は習得しておいた方がスムーズだと思います(平成31年合格者)。

 プロジェクトマネージャ試験が論文系試験として初めての方は,他の区分との違いをきちんと理解しておく必要があります。姉妹書の「高度試験午後Ⅱ論述」は,論文試験の区分ごとにポイントをまとめているため,そちらも使うことをおすすめします(平成31年合格者)。

 試験に合格するということだけを考えれば内容は充分であり不足はないと思います。試験に合格したあとそれをどう業務に活かすかは当然ですがその人次第ですね(平成31年合格者)。

 午前の勉強は別の対策が必要だと思います。午前は過去問が出来ていれば問題ないので,私は過去問道場を活用しました。午後Ⅱについては,論文のネタ集めは自分でする必要があります。実務からネタを集め,足りない具体的な数値データはIPAのデータ白書等から収集しました。論文対策は基本的に本書だけでも問題ないと思いますが,自分が作成した論文を第三者に添削してもらい,改善点を指摘してもらうほうがより効果的かもしれません(ただ,第三者を慎重に人選することが重要だと思います)(平成31年合格者)。

 私が4回も不合格になってしまった原因は「勘違い」だった。読み手である自分が文章の意味を勝手に頭の中で曲解してしまっていると何の意味も無いし,本番でも題意を間違えてしまう。「頭の中で知らないうちに曲解してしまう」という性格をしている人間は,まずそこを叩き直してからでないと,本書の活用は無理だ。私の場合は,三好先生に添削を依頼する他,自分が書いた論文を匿名掲示板に投下してコメントを集めるという荒業でこれを矯正した。何度も不合格になってしまう人は,「もしかして自分は何か勘違いしているのではないか?」と,肩の力を抜いて頭をクールダウンさせてみると良いと思う(平成31年合格者)。

 午後Ⅱのサンプル論文が外部SIベンダーの立場で書かれたものが多く,社内のIT部門に所属している立場で論文を書いていた際に悩む部分もあったので,今後は社内IT部門の立場でのサンプルも増やしていただけると参考になると思います(平成31年合格者)。

Q3.本書をどのように使いましたか?

(1)20代の若手エンジニア

 最初に,若くしてこの試験に合格した方々の体験記を紹介しよう。彼らに共通しているのは「経験が浅い」こと。それが弱点なのか,あるいはそうでないのか,はたまたどのように工夫したのか,そのあたりを中心に聞いてみた。

基礎知識を体系的に覚えていく時間が必要になる

 経験が浅いということは,午後Ⅰ試験では「状況が把握できない」,「答えがわからない」という状況に,午後Ⅱ試験では「ネタが無い」という状況に,それぞれ陥る可能性がある。そこで,(その課題をクリアするために)「プロジェクトマネジメントの基礎知識を体系的に覚えていく時間」が必要になり,その分,ベテラン勢よりも勉強時間を取る必要がある。
 しかし時間が無い。もちろんそれはベテラン勢も同じだが,彼らは,さらに仕事に必要な勉強にも時間の多くを費やさなければならないからだ。加えて,若さゆえプライベートでも多忙を極める。学生時代からの趣味を大事にしたり,恋愛や結婚,子育てに力を入れている“イクメン”もいるだろう。筆者も,“できる若手”だったかどうかは別にして,平日はコンパとデート,休日はオートバイレースとデートとプライベートは多忙を極めた。“若さ”でキラキラ輝いている時なので,なかなか勉強に時間を割くこともできないだろう。
 そんな状況下だから,彼らにとっては勉強時間の確保が最大の課題になり,そのあたり,いろいろ工夫しているところが見て取れる。特に筆者が感心したのは本書を実務書のように使っているケースだ。合格体験記の中に仕事で困った時にヒントを得るために辞書のような形で使っているという意見があった。必要性に駆られて読む方が,インプットとしても効果的だったとのことである。確かに若手にとっては,体系化された基礎的な教科書通りの対応から学んでいくことも大切なことだ。

Aさん(平成26年合格) 今回30時間,2年間で50時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 学生のころから高度試験の受験を始めているので,得意なのは「ひたすら過去問題を解く」スタイルです。当然ながら,問題を解く時間+解答を確認する時間を要するので,まとまった大きな時間が必要です。得意としている午前問題であれば細かな時間で勉強できるものの,合否ポイントとなる午後問題についてはなかなか学習が進まない,という点が今のスタイルの弱い部分と思います。

②勉強に対する制約

 平日は遅くまで仕事があり,時間を取ることが困難です。また,通勤途中に電車で本を広げる余裕もないため,休日の一部を活用するというのが主です(加えて,秋試験は野球観戦のオンシーズンなので…という個人都合もあります)。

③本書を,どのように使ったか?

 上述の通り,過去問を解くサイクルの中で「問題集・解答解説集」として使用したほか,「仕事で困った時にヒントを得る」ために読むことが多かったです。また,「午後Ⅱ問題文に見るあるべき姿」の節は空いた時間で少しずつ読み進め,PMとして持つべき着眼点を吸収していきました。
 巻頭から学習を進めることで体系的にプロジェクトマネジメントの知識を吸収するのも効率的で良いことですが,興味のある部分や自分に必要な部分から学習を進めていくやり方は負担感がなく,勉強のモチベーションも維持しやすいものと考えています。そういった点で,“どこからでも読みやすい”本であり,試験受験にも仕事にも活用できる本になっています。

Bさん(平成26年合格) 総学習時間40時間

 私は本書と『高度試験 午後Ⅱ論述』を利用して,平成26年度のプロジェクトマネージャ試験に1回で合格することが出来ました。今回は3月中旬までTOEICの学習をしており,約1か月しか学習期間をとれませんでした。また,私は現在入社4年目でプロジェクトマネジメントの経験もなく,知識も時間もない中で,いかに効率よく試験対策を行うかが課題でした。時間不足を補うために,平日の通勤時の電車内及び,会社のお昼休みを勉強にあてました。通勤時の満員電車内で本書を広げるのは困難なので,本書及び論述本を章ごとにスキャナーで自炊してスマホに入れることで,ちょっとした時間でも本を読める環境づくりを行いました。
・午後Ⅰ対策
 基礎知識不足を補うため,まずは午後Ⅰ対策を行いました。他の受験区分と出題傾向も似ていることから,問題と解答例を覚えることを中心に行いました。本書の第1章から第7章で,プロジェクトマネジメントの工程ごとに基礎知識の確認→「午後Ⅱ問題文に見るあるべき姿」を一読→午後Ⅰ問題を実際に解くという流れを全章繰り返しました。わからなかった問題は問題文→解答文をセットで覚えるようにしました。本書は工程ごとに重要ポイントがまとまっているので,効率よく覚えられました。さらに第8章に重要語句の説明があるので,用語についても深く押さえられました。
・午後Ⅱ対策
 2時間で書く練習をまず行いました。幸運なことに友人が論文を書く会をセッティングしてくれたので,周りのプレッシャーもある中での練習ができました。しかし,この時は設問イの半分くらいまでしか書くことができず,実力不足を痛感しました。それ以降は本書及び論述本の午後Ⅱ問題とサンプル論文・解説をすべて読み,設問に対してどのように解答すればいいのか,良い例・悪い例を参考にして論文試験対策のノウハウを吸収しました。論文試験全般に言えると思いますが,論文のネタづくりが本当に大変でした。本書付属の大量のサンプル論文からネタの土台になることを得ることはできますが,論文採点者の記憶に残る,独自性のある論文を作るには,自身の業務での体験を取り入れ,内容を飛躍させることが大事だと思います。
・午前II対策
 午前IIは前日にまとめて行いました。過去問から10問程度そのまま出る傾向があるので,前日に一気に覚える勉強法をお勧めします。試験前日に論文や記述をやるのは重いので,四択問題で頭を休める意味でも前日が一番良いと思います。

Cさん(平成26年合格) 総学習時間250-300時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 私は,集中力が足りず,自宅で机に座って勉強することが苦手な人間でした。

②勉強に対する制約

 2014年は,試験勉強よりも仕事や家族との時間を優先したため,今までと比べても勉強時間の確保が困難でした。試験勉強は通勤電車の移動中や図書館を利用して行いました。

③本書を,どのように使ったか?

・午前対策
 問題を解く前にインプットとして,本書「基礎知識の確認」や「重要キーワード」を1章ずつじっくり読み込みました。その後,本書の過去問題を解きました。インプット学習は基本的に通勤電車で一日1時間程度行いました。
 試験1週間前には,間違えた問題を中心に,もう一度全問題を解き直しました。
・午後対策
 午後Ⅰも,本書の過去問題一式を通勤中に解きました。量をこなしたかったので,一日1問解くことを目標としましたが,実際は二日で1問程度が限界でした。休日は午後Ⅱの学習をしたかったので,午後Ⅰは平日のみとしました。
 午後Ⅱ対策は,週末を使って論文を書くようにしました。時間的に難しかったため,書きやすいと思った分野に的を絞りました。まず,本書記載の2時間で書いてみる問題を,その後は過去問題から数問分を選択しました。週末は予定もありましたが,二週間で1本は書くようにしました。

(2)経験豊富なベテランでも勉強は必要。
   -ベテランが考えなければならないこととは?-

 次は,経験豊富なベテランプロジェクトマネージャの合格体験記である。ベテランは何をすればいいのか? あるいは,何はしなくていいのか? そのあたりが参考になると思う。特に,“知識と経験は豊富だけど合格できないベテラン”は,自分がこれまでやってきた“試験対策”が正しかったのかどうか,漏れている視点は無いかを確認してほしい。せっかくの財産(経験),強みとしないともったいない。「経験が邪魔をしている」ケースというのもよくある話だから。合格体験記から抜粋するだけでも,こんな感じになる。

 「何を聞かれているのか分からない」,「答えを見ると“なんだそんなことか”となる」→ とらえどころのなさ。

 「自分の思いで書いてしまう」,「本文の内容に漏れなく応えようとし,収拾がつかなくなる。」

 「シンプルで分かりやすい論述」,「職場の人間に読んでもらえば『PMの論文というから,どれだけ高尚なものかと思ったが,当たり前すぎてたいしたことないな』と言われる。」

ベテランといえども,しっかりと勉強している点に注目!
 ここで紹介している“ベテランPM”のうち2人は,勉強時間が200時間を超えている。実際,筆者の開催している試験対策講座でもその傾向は強い。
 その理由を尋ねてみると,おおよそ次の二つの答えに集約される。ひとつは合格するためで,もうひとつが仕事でも役立つからだそうだ。
 「普段のコミュニケーションと違って,試験特有のまとめ方や表現があるので,その感覚をつかんでおかないと合格点をクリアできないから」
 「実際のマネジメントに役立つ内容だから,しっかりした知識を得ておきたい」
 他には,本章の冒頭の一節「あなたが今すぐ“誇り”と“自信”を持っていい理由」(P.2)の中に書いている“メンバを守るために勉強する”という言葉を目にしてしまって,「そこまで言われたら,絶対に合格するしかないよね(笑)。でも,ほんと,“メンバのため”って考えたら,ついつい頑張ってしまうよね。」という…筆者の狙い通りになってくれた人もいた(笑)。

Aさん(平成31年合格) 総学習時間:140時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 隙間時間での学習を積み上げ平均1時間/日の学習時間を確保。自宅だと集中できないタイプなので主に会社で学習しました。午前問題は携帯アプリ中心で学習,午後問題はテキストに準拠して進めるスタイルです。

②勉強に対する制約

 自宅にPCやデスクが無いので,基本的に終業後に会社で学習していました。

③本書を,どのように使ったか?

 本書では午後Ⅱの対策からを推奨されていますが,いきなり2時間で書くところのハードルが高く感じました。そこで私は,最初は問題を読み,章立てを行うところまでとし,午後Ⅰの対策に進みました。ある程度午後Ⅰの問題を理解した後に,午後Ⅱの論文作成トレーニングに戻るようにしました。
 午後Ⅰは自分の手書きメモとテキストの手書きメモを比較することで理解度を高め35問解答,特に点数が低かった11問については2週目を行いました。
 午後Ⅱは実務での経験が少なく苦手な品質をキッパリ諦め,それ以外のテーマで3パターンの論文を準備しました。
 論文についてはテキストの合格論文を参考に自身の経験した内容に置き換えることで作成し,想定パターン毎に準備しました。論文はPCで作成し,完成した論文を手書きする練習も数回行いました。

Bさん(平成31年合格) 総学習時間:30時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 週末等時間がとれるときにまとめて勉強するのが得意なスタイルだったため,試験の1ヵ月前くらいになると土日の片方は試験勉強に費やしていました。逆に,毎日コツコツと勉強したり隙間時間に頭を切り替えるのが苦手だったため,それを見越して時間をまとめて確保できるように自身のスケジュールを調整しました。

②勉強に対する制約

 平日は仕事があるため,やはり時間の確保は休日となることが多々ありました。ただ,論文系試験はネタ集めが必要なので,試験直前は仕事の休憩時間とかに論文のイメージトレーニングをしていました。

③本書を,どのように使ったか?

 PMBOKでいうところの知識エリアごとに午前Ⅱ?午後Ⅱ演習の問題が整理されているので,自分の苦手な知識エリアの学習をする際に活用しました。特に,午後Ⅰ演習の中に記載されている「解答のための考え方」を理解するようにしました。午後Ⅱ演習に関しては,「減点ポイント」に該当する記述をしないようにするためにはどうすればいいかのイメージトレーニングを多く積みました。
 また,意外と「IPA公表の出題趣旨や解答例」を掲載している本は少ないのですがIPAの出題意図を理解したり,期待されている解答を理解するのはとても重要なので,この本で解いた問題については必ずそのIPAの記載を確認するようにしました。そういう意味では手を動かすのも大事なのですが,この試験の趣旨を正しく理解することに時間をかけるほうが極めて大切ということに気づかされました。

Cさん(平成28年合格) 総学習時間 2016年50時間,それ以後の4年間平均100時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 時間を決めて毎日その時間だけは勉強するスタイルでしたが,余り考えずに取り敢えず目の前にある問題を解く事で満足していました。その為,PM試験の解答の特性を捉えられず正解できなかった問題に対しては,「IPAの解答は,無理やりこじつけている。」と不満を漏らすだけで,自分の考え方のクセを改める所にまで至りませんでした。

②勉強に対する制約

 会社まで自転車で通えて,妻も息子も協力的であった為,帰宅後や週末にいくらでも時間を確保できるという恵まれた環境にありましたが,仕事の疲れを理由に全く勉強しない事もありました。

③本書を,どのように使ったか?

 5年連続でPM試験を受験しましたが,本書に出会うまでの最初の3年間は,「たとえ一つの問題を解くのに予定よりも多く時間が掛かったとしても,その解答が正解であれば問題ないはず。」という考え方で,実際の午後Ⅰの試験でも,一つ一つの設問にじっくりと時間を掛けて解いていましたが,残り時間が少なくなってくると焦りが生じてしまい,根拠を導き出せないまま無理やり解答するという事がほとんどでした。この問題点を改善する為に,本書のアドバイスに従って,小問に対して均等に時間を掛けられる様に,試験本番時の時間配分を意識して過去問を解き,解答の根拠とする箇所について丹念に本書の解説との比較を行う様にしたところ,これまで初見の問題ではできなかった,解答を一意にする為の根拠が問題文に有る場合と無い場合を素早く見極めるという事が本番の試験でできて,時間内に全ての解答を埋める事ができました。

Dさん(平成26年合格) 総学習時間 200時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 コンスタントに時間を捻出する地道なタイプと思います。理屈で理解したがる方なので直感で解けても気持ちが悪く,結果として効率が悪い方法をとってしまいがちです。

②勉強に対する制約

 家族に要介護者が居ます。自分が勉強のために帰宅後や休みを費やしている間,妻一人に負担を強いてしまいます。合否にこだわるのも本来ではありませんが,当事情により長引かせることも厳しいと考えていました。ちなみに,IPAの成績照会は二人で見ました。無事,合格できましたが,自身の達成感よりは家族への感謝の方が勝っています。

③本書を,どのように使ったか?

 実は,受験しようと思ったのは,年齢と偶然がきっかけでした。40歳になって「60歳でリタイアとするとしても後20年もあるのか…」と,ぼんやりと考えることが多くなったある日,会社の帰りに立ち寄った書店で,偶然『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2014年版』(以降,本書)が目に留まりました。中をみると過去問を題材に“プロジェクトのあるべき姿”などが語られており,おもしろいと感じたのが第一印象です。そして,それをきっかけに受験を決意しました。このときすでに1月中旬,試験までほぼ3か月という状況でした。
(1)対策前の状態
 まずは直前の過去問を通して解いてみました。結果は次の通りでした。
 午前Ⅰ:63%,午前Ⅱ:68%
 午後Ⅰ:解答自体が6割程度
 午後Ⅱ:何を書いてよいか見当つかず…
 午前はそこそこの出来のように見えますが,午前Ⅱも,分かっていた上で解答できたのは3問で,なんとなく知っていたが決め手に欠けるのが18問。分からなかった知らなかったのが4問です。ほぼ,まぐれでの6割突破です。加えて,午後はゼロからの対策が必要でした。つまり,受験を決めた段階では,午前1?午後2までフル対策が必要だったのです。
(2)午前Ⅰ,午前Ⅱ対策
 教材は過去問と本書付録の解答・解説(Web掲載)だけです。過去問を解いたうえで不明点や曖昧な知識を解答・解説で確認し,ノートに記していきました。
 ポイントは正解の選択肢だけでなく,その他の選択肢についても,解説を写して覚えていくようにしたことです。ノートはポケットに忍ばせることができる大きさのものにして,行き帰りの電車のなかで復習しました。終わってみれば,80ページほどの自作用語集が出来上がっていました。
(3)午後Ⅰ対策
 こちらも教材は過去問と本書です。1章から7章まで順番に学習して行きました。本書掲載の問題を解いては,解説と照らし合わせますが,単に答えを合わせるのではなく,自分の解答の根拠と解説を比較検証するよう注意しました。解答への導き方を盗むつもりで本書を読んでいったのです。本書が解答のプロセスを重視しているため,自ずとこのスタンスに導かれたように思われます。
 しかし最初は,「設問で何を聞かれているのか分からない」,「答えを見ると“なんだそんなことか”となる」ことが多かったですね。そこにかなり戸惑いました。転機となったのは,「悪化の兆候を芽の小さいうちに検知するため,進捗確認のスパンを短くする」といった内容の設問に触れたときです。なぜか「当たり前すぎる」ことだが「なんとなくの経験知を汎化・体系化して,使える(どのプロジェクトでも使い回すことのできる)知識にしているのではないか」と思えたのでした。それ以降は,午後Ⅰに対する“とらえどころのなさ”を感じなくなりました。その結果,次のような手法に落ち着きました。
 ・本文,設問を忠実に読解する(よう努める)
 ・解答の根拠を本文中に求める
 ・自分の知識と照らし合わせ解答となりえるか点検する
 ただし,解答の仕方は最後まで悩みました(解答に用いる用語の選択,字数制約から自明と思われる主語を省略してよいかなど)。
(4)午後Ⅱ対策
 こちらも1章から7章まで順番に学習して行きました。コラムにあるように初回の苦痛の2時間からスタートです。章ごとに「2時間で書いてみる問題」が提示されているので,それを1本ずつ合計7本は書きました。慣れてきたら(3章あたりから),事前に問題文に対し自分なりに書くべきポイントを整理・予想した上で,本書解説に進むようにしました。午後Ⅱも,いくつかの転機があるのでそれを記します。
a)自分の思いで書いてしまう
 最初は,本文と設問の勝手な独自解釈で書き綴るといった状態からのスタートでしたが,本書を読んでいるうちに,記述式が「30字以内で答えよ」とあるように,論述式は「800字以内で答えよ」と言われているだけのように思えてきました。幅はかなり広いものの正解があり,設問に答えるものだということを早くに気づけたのがひとつめの転機です。
b)本文の内容に漏れなく応えようとし収拾がつかなくなる
 他にも,やたらと設定を細かくしたり,本文の事例に無理に沿わせようとして論理整合しないために苦労したこともありました。これに対しては,「本文を解読し,論旨の幹と枝を明確にする。幹は外さないが,枝にはこだわらない。課題や問題点は平凡なものを1つ採用する。」ことをと心がけました。
c)難しく考えてしまう
 最初はとても難しいものだと考えて,難しい方向にいこういこうとしていました。しかし,最後に到達したのが「シンプルで分かり易い論述にする」というところでした。極端に言えば「採点者が徹夜明けの頭で読んだとしても,3分で読めて,読み返す必要のない論文」です。そのため,題材と設定はよくある話に,因果関係と論理は単純にするように努めました。きっと,職場の人間に読ませると「PMの論文というから,どれだけ高尚なものかと思ったが,当たり前すぎてたいしたことないな」と言われるでしょう。
d)字数が到達しない
 この課題に対しては,本書に書いている通り,行動や判断の根拠(知識や判断材料)としたり,5W1Hを意識したり(時・状況の遷移など)することで対応しました。こうすることで,文章も自然な流れが生まれるようになったと思います。
 書くスピードでも苦労しました。一度,模範論文を模写し,時間計測したのですが,400字あたり15分でした。加えて,この時,気づかされたのは漢字の失念,書き間違いが多いと感じました(消しゴムの登場回数が多いのも時間がかかる要因)。そこで,午前対策で手書きノートにして多少なりとも漢字を覚えよう(手に馴染ませよう)としました。
 そして,最終的には400字あたり15分のペースで,トータル2,400字書くことにしました。これで90分です。あとは問題読込と論文骨子で20分,事後の見直し10分としました。

(3)“時間が無い”受験生の対策(工夫)

 勉強することが仕事の“学生”と違って,社会人にはとにかく時間が無い。序章の扉に書いた通り,資格取得の優先順位を低く設定している場合,(資格取得のための)勉強に時間が割けないのは当然と言えば当然のことだ。
 しかし,心配しなくてもいい。時間が無いのは受験生共通の悩みであり,十分な対策が取れなかったり,納得のいくところまで仕上げきれなかったりする受験生がほとんどだ。言うなれば,“時間が無い受験生”の中での戦いである。
 そう考えれば…重要なのは,時間が無い中で,短時間で効率よく合格可能性を高めるのはどうすればいいのか? それを考えてみよう。あなたの周囲に,同じように時間の無い中合格を勝ち取った人がいたら,話を聞いて参考にするといいだろう。ここでも,参考になる体験記をいくつかご紹介しよう。

●仕事が忙しい(繁忙期他)

 仕事が繁忙期を迎える受験生は少なくない。4月を期首とする企業が圧倒的に多い中,そこに合わせて本番リリースを迎えるプロジェクトを担当すると,試験勉強どころじゃなくなる。「せめて秋試験にしてくれよな。」と嘆く受験生は多い。

●子供が小さい

 受験者の年齢層的に,小さい子供がいることも多いだろう。もちろん,主婦として家事をも担当しながら資格試験に挑戦する人もいる。専業主婦でも大変なのに,仕事に資格にと…どうすればそんな偉業を成し遂げることができるのか。

●プライベート重視

 定期的に資格を取得していると,周囲は勝手に“忙しい”と思ってくれるので,よけいに時間が確保できたりする。もちろん生産性も向上するだろう。そう考えれば,プライベート重視の人こそ,そこに使う時間を捻出するために資格を取るべきなのかもしれない。

 このように理由は様々だが,全員に共通しているのは,誰も,諦めていないし“言い訳”もしていないところだ。すごいことだと思う。情報処理技術者試験に対する言い訳の怖いところは,そこに理由を付けようと思ったら,いくらでも正当化できてしまうというところ。優先順位が低いわけだから。しかし,「取れない」が起点になって,「取りたくない」,「必要ない」という流れはあまりにも悲しい。時間が無いなら長期的取組に変えるのもひとつの手だし,それを課題と設定して解決すべき方法論を考えるのもひとつの手。できることはいくらでもあることを教えてくれる。

Aさん(平成30年合格)60時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 試験半年前から1日/週の頻度で,午前中から図書館に籠って勉強していました。試験1か月前から勉強時間を確保すべく,仕事の量をセーブし,頻度を2日/週に上げました。試験前週は,帰宅が深夜時間帯であっても,毎日勉強時間を2時間確保しました。

②勉強に対する制約

 深夜まで仕事が続く事がほとんどであり平日は全く時間を取る事ができませんでした。週末は家族(妻と娘)との時間を1日は確保したい為,自ずと前述の通り1日/週程度しか時間を確保できませんでした。

③本書を,どのように使ったか?

 論述系区分の受験が初めてであった事から「論述の書き方」を学ぶインプットとして活用しました。プロジェクトマネジメントの体系だった知識は,実務を経て断片的に習得済であった為,10年分過去問を解いて,間違えた箇所のみ勉強しました。総学習時間の半分である30時間前後で,午前Ⅰ,午前Ⅱ,午後Ⅰはコンスタントに合格ラインである60%をクリアできるようになりました。残りの30時間を,午後Ⅱ対策として,本書と午後Ⅱ過去問に費やしました。何度も本書の合格論文サンプルを読む事により「問題文に論文の目次が含まれる。自分の過去の体験談を述べるのではなく,問題文に隠れている論文の目次を抽出し,自身の経験を切り貼りしていく作業だ」という重要なポイントに気づく事ができました。このポイントに気づいてから論文の書き方が変わりました。

Bさん(平成27年合格)100時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 特に試験勉強期間中,仕事が繁忙期を迎えてなかなか勉強時間を割くことができず隙間時間を使ってコツコツと勉強してきました。また,私自身の特徴として集中できる時間は2時間が限度なので,休日にまとめて時間をとって勉強するというよりは,勉強する回数を増やして勉強時間を確保しました。

②勉強に対する制約

 勉強時間の確保が難しかったです。通勤電車の中や,朝早めに出て喫茶店で勉強するなどして勉強時間を捻出しました。

③本書を,どのように使ったか?

・午前Ⅱ
 毎日通勤電車で,PMBOKの10の知識体系と47の主要プロセスを暗記しました。また,週2,3回,朝早めに支度ができた時は30分ほど喫茶店で巻末のチェックリストを読み込みました。これらの習慣が日常業務の中で「この事象はPMだったらどうする?」と考える習慣に繋がり合格に近づいていったと思います。また,月1で第8章を通読し,試験前1週間で午前Ⅱの過去問全問を5回解きました。
・午後Ⅰ
 過去問を7問解きました。時間があれば全問解きたかったのですが時間が取れないことがわかったので方針転換。本書に書いてある考え方や解き方を頭に入れながら時間を計って解き,1問を大切にしました。また,午後Ⅰの考え方の動画が著者のサイトにアップされています。こちらも大変参考になるので1度ご覧になってください。 ・午後Ⅱ
 過去問を2問解きました。こなした問題数が少ないですが,本書にあるとおり1度時間を計って解くことをお勧めします。そこで課題が見えてくるからです。私の場合は,「具体例を定量的に示せない」「話の整合性が取れていない」でした。試験本番の時に気を付けて論述することができ合格に繋がったと思います。

Cさん(平成27年合格)100時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 通勤時間,及び試験1か月前からは週末の半日を勉強時間にあてました。

②勉強に対する制約

 平日の夜及び休日は1歳半の娘のお世話でまとまった勉強時間が取れませんでした。家族のことを優先すると決めていたからです(但し,試験1か月前は家内に協力してもらい,土日のいずれか一方の半日は勉強時間にあてさせてもらいました)。

③本書を,どのように使ったか?

 本書の序章,特に合格体験記を熟読し,どのような勉強方法を選択するべきかをイメージしました。当初は,本書の全過去問をつぶそう!と考えていましたが試験1か月前にその計画を下方修正しました。午後Ⅰについては本書の第1章から第7章の各章の過去問の中から重要度の高い2問から5問程度を選択し,その全ての問題が正解するまで解きまくりました。
 午後Ⅱについても各章から2問から3問を選択し,各問題を15分で大学ノートに答案構成することを繰り返し実施しました。また,答案構成を終わった後には,解説を読みながら自分が考慮不足だったところを赤ペンでチェックし,自分のウィークポイントを抽出する作業を実施しました。
 その後,抽出したウィークポイントをシステム手帳に書き写し,試験当日の午後Ⅱ試験の前の休憩時間に見直しました。

Dさん(平成31年合格) 150時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 資格試験は過去問をひたすら解くスタイルです。インプットとアウトプットの割合は1:9くらい。学校で情報処理の勉強をしたわけでもなく新卒からITの会社にいたわけでもないので,基礎的なことをあまり知りません。合格するためには,時間がないのに人よりたくさん勉強しなければなりませんでした。短期集中も苦手なので,前年の12月くらいから勉強を始めました。

②勉強に対する制約

 2歳の子どもがいる主婦でもあるため,平日休日問わず家での学習時時間はほとんど取れません。論文練習で2時間まとめて時間をとれたのは本番1週間前にたった1回のみ。朝は夫が子どもを保育園に送っていくので早めに家を出て会社の休憩室で勉強したり,昼食を簡単に済ませて,残りの時間で勉強したりしました。とにかく時間がないので30分でも時間があれば勉強するようにしました。

③本書を,どのように使ったか?

 まずは一通りテキストの内容を読み,あとはひたすら過去問を解き続けました。紙の本と電子書籍がありますが,私の場合インプット学習は,電子書籍の方が持ち歩くのが楽で重宝しました。アウトプット学習は,実際に手を動かすことを大事にしているので,過去問と解答用紙を印刷して2年分ずつ持ち歩きました。

Eさん(平成24年合格) 100時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 自分の勉強スタイルは,隙間時間利用中心です。具体的には,平日は,主に通勤時間を活用しています。往復で1時間?2時間程度,電車の混雑に応じて,書籍,動画,音声などを使い分けました。論述や論文作成など,まとまった時間が必要な場合は,休日の朝や夜中に取り組みました。弱い部分ですが,連勝中の野球観戦や,楽しい飲み会など,誘惑に負けて,ついつい気分転換しすぎてしまうこともあります。

②勉強に対する制約

 業務はプロジェクトマネジメントを担当していますが,仕事で帰宅が遅く,家庭の時間も勉強だけに充てることは難しいので,家族に極力迷惑を掛けずに勉強時間を確保する必要がありました。

③本書を,どのように使ったか?

 全体の取り組み方については,本書のスケジューリングを参考に,自分の試験対策をプロジェクトに見立てて,午前Ⅱ,午後Ⅰ論述,午後Ⅱ論文と過去問を中心に学習を進める形式にしました。
 午後Ⅰ論述の部分は,解説文を読んで,自分の回答に足りない部分を意識づけしました。一度では理解できないため,同じ問題を繰り返し読みました。
 午後Ⅱ論文の部分は,情報処理技術者試験における書き方の「お作法」をサンプル論文で学びつつ,数字を使った説得力ある記述の例,論文全体の一貫性を保つためのポイントなどを学びました。

Fさん(平成31年合格) 100時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 限られた時間を有効活用することを心掛けました。出願した1月以降の計画を作成し,途中計画の見直しを行いながら勉強しました。弱い部分は論文に対する意識です。2時間で約3,000文字の論文を記述することに高いハードルを感じ,これまで高度試験の中でも論文系の試験は受験対象に入っていませんでした。

②勉強に対する制約

仕事,プライベートともにそこそこ多忙なため,勉強時間には制約がありました。基本的に仕事,プライベートを犠牲にせず時間を捻出しようと考え,隙間時間を有効活用しました。具体的には,昼休み(昼食後30分),通勤時間(1日40分)を活用しました。それまで隙間時間の時間つぶしにやっていたスマホゲームはすべてアンインストールしました。

③本書を,どのように使ったか?

 本書は,主に午後試験の対策に使用しました。まず試験3か月前から,昼休み30分を使って午後Ⅰを解きました(通常午後Ⅰは1問45分ですが,30分で解けるようにしました)。翌日の昼休み30分を使って採点と解説確認をしました。本書に掲載された問題と,本書で優先度が◎となっている問題を解くようにしました。
 午後Ⅱについては,試験2か月前から,本書で2時間で書くことを推奨されている問題について,実際に論文を書きました。この論文だけは隙間時間では手に負えなかったため,週末に2時間を捻出しました。協力してくれた家族に感謝です。解いた問題については本書の解説を確認し,記述内容の方向性や具体性にずれがないことを確認しました。また,Web特典は印刷して持ち歩き,通勤時等の隙間時間に目を通せるようにしました。

(4)時間をかけてじっくり取り組んだケース

 もしも今回,運よく時間がたっぷりとかけられそうなら,十分納得のいくまで勉強して,確実に合格を勝ち取ろう。絶好のチャンスだ。
 筆者の実施する試験対策講座の受講生は,オンサイト講座,オンライン講座に関わらず,論文を添削した本数に比例して合格率が高くなっている。それは本当に顕著に表れている。おそらく,短期間で数多くの論文が書けること自体,ある程度仕上がっているのだろう。月2回ペースで添削をして,試験本番までに10回以上やり取りした受験生の合格率は驚くほど高い。
 とはいうものの,それはあくまでも試験対策講座を受講した時のメリットだ。本書を使って独学で勉強する受験生は,時間の使い方から自分で決めていかなければならない。しかもそこで躓くと,せっかく費やした時間が全部無駄だったってことにもなりかねない。
 そこで,時間をたっぷりかけて勉強できるのなら,ここで紹介する人の話を参考に,間違った方向に行かないようにだけ気をつけよう。

Aさん(平成31年合格) 200時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 独学で過去問を大量消化する勉強法。とにかく勉強の量で勝負する。しかし,本資格に限っては過去4回も不合格になってしまった。原因は着眼点のズレ。着眼点を勘違いしているとどれだけ勉強しても無理で,かなり遠回りしてしまったと思う。

②勉強に対する制約

 無し。会社を退職してフリーランスに転向することを決意したので,退職後の有給消化期間の一ヶ月余りはずっと本資格の勉強ばかりしていた。自分以上に万全の体制を敷いた人はいないと思う。

③本書を,どのように使ったか?

 サンプル論文と,その解説に着目した。4回も不合格になった自分の経験として,論文というのは漠然とサンプルを読んでも書くことはできない。自分の場合,書けるだけを書いて文字数を満たしたそれっぽい論文を書くことはずっとできていたのだが,今になって振り返ってみると,「書いた内容が題意から微妙に食い違っている」とか「何とでも解釈できてしまうような具体性の無い単なる誤魔化しである」とか,話にならないほど脱線するわけではないにしても,どこかあちこちがズレたぼやけた論文になっていて,合格論文にならない,という事態に陥っていた。
 合格論文を仕上げるには,「題意とは何か?」「具体性とは何か?」など,論文を書く上でのポイント,体系化された理論が腹に落ちていないと無理なのだが,私の場合は紙で読んでもそれが分からなかった。
 しかし,本書の筆者である三好先生が個人的にサンプル論文の解説動画を公開してくださっているので,まず動画を見てポイントを掴み,その上で本書を読む。このやり方でやっと本書の趣旨を理解することができた。

Bさん(平成30年合格) 150時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 私の得意な勉強スタイルは一般的なプロセスで,基本知識を習得後に応用知識へとステップアップする進め方です。堅実であるメリットを生み出す反面,時間を要するデメリットもあります。弱い部分ですが,むしろ一時期,午後Ⅰの得点が伸びなかった要因について触れたいと思います。私はPMとしての実務経験はベテランに位置します。実務経験が濃すぎるあまり,IPAの模範解答に対して「えっ,そんなレベルの解答でいいの。そんなこと,当然でしょう?」と思うことが頻繁にあり,IPAの求める解答を導き出す訓練が合格への最大の課題でした。

②勉強に対する制約

 自治体組織の勤務であるため,民間企業に比べ早い出勤,通勤時間に1時間30分を要し,勉強時間の捻出に工夫が必要でした。

③本書を,どのように使ったか?

 まず,午前Ⅱ対策については独自の方法で準備を進めました。全体の約60%がPMBOKからの出題であり元々,PMP資格を取得して前提知識があったため,かなり楽でした。午前Ⅱの出題傾向が,当該受験年度の2ヶ年度前からの出題が多いと認識していたため,過去問題5年分を中心に勉強しました。平成30年度の受験であったため,平成28年度・26年度は特に何回も確認しました。実際の試験においても,傾向は変わっていませんでした。
 午後対策については,三好先生の推奨するプロセスを素直に受入れ,取組みました。私は当初,午後Ⅱ→午後Ⅰのアプローチで進めましたが,途中から午後Ⅱと午後Ⅰの対策を同時並行で進めるようにしました。まず,文献に掲載されている論文は単元別で全て読込みました。PMの業務体系を再確認し,出題内容と問われる知識の把握に努め,頭の中で問題事象に対する解決の流れを描く訓練を行いました。
 実際の論文作成では,模範解答に即した流れで私が実際に担当したプロジェクトを思い浮かべ,論述する訓練を行いました。各単元で三好先生が手書き作成を推奨する論文(◎部分)は必ず作成しました。また,各単元で最低でも1つの論文は作成し,その次に優先度の高い過去問題はA4用紙1枚に骨子をまとめるようにしました。試験当日までに作成した論文の総数は9 種類でした。
 午後Ⅰに関しても,三好先生が解くことを推奨する問題(◎部分)は必ず解き,ノートの使い方を工夫しました。マス目入りのA4サイズのノートを準備し,定められた字数以内で書く意識を植え付けました。また,自身が書いた解答の右横に模範解答を書き写し,自身の解答との違いを比較できるようにしました。午後Ⅰは時間的難易度を克服することが重要になります。その対策として,知識問題をいかに短時間でかつ正確に記述できることがポイントであるため,必ず解いた過去問題はまとめと内容整理を行うようにしました。復習の際には,整理した内容を何回も見直し,知識の定着を図るように心がけました。試験当日までに解いた午後Ⅰの過去問題の総数は37問でした。これだけの午後Ⅰ問題を解いて知識整理ノートを見直しすると,過去に類似の設問が繰返し出題されていることを認識できます。問1つ当り満点で50点ですから,その中で知識問題が15点前後は出題されているかと思います。この部分を確実に得点し,知識問題全体で30点を得点できればしめたものでしょう。

Cさん(平成22年合格) 200時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 過去問を地道に繰り返し解いて,問題と解答の両方を記憶していくスタイルです。解答の解説が非常に大切と考えており,三好先生の書籍を選んでいるのはそれが一番の理由です。また,自宅の机では遊んでしまうため,集中するためのカフェ通いを習慣化することで弱点を克服しました。

②勉強に対する制約

 仕事が忙しい時期と受験が重なったことと,子どもが2人いて遊び盛りであったため,時間の捻出に苦労しました。結果として,家ではお風呂の中に問題集を持ち込み,お風呂の蓋を机にして勉強しました。

③本書を,どのように使ったか?

 最も利用したのは午後Ⅰ対策です。掲載されている過去問の問題数が多く,また解答を導くための解説が非常に丁寧であるため,IPAが解答内容を絞っていくためにどういう条件を問題文の中に仕込んでいるかを肌感覚で学ぶために最適でした。
 午後Ⅰ問題の解答は,同一問題を5回行いました。まず1回目は,2か月程度かけて優先度の高い問題を一通り解答します。2回目は同じ解答を1か月でできるようになります。3回目は1週間,4回目は3日,5回目は1日ですべて解答できるようになります。おまけに問題文を読めば,どこに解答内容を絞るためのキーワードがあるか,肌感覚で分かるまでになっています。
 論文については,サンプル論文の中から自分が過去経験したものに近いものを6本選び出し,その中の業界を金融業に,内容を担当した案件に修正したものをPCで作成し,推敲を重ねたうえで完成させ,それを手書きで6本写し書きをしました。これによって論文のシナリオが頭の中に蓄積され,試験本番で初見となる問題文をみたときにも,余裕をもってシナリオを作成することができ,そのシナリオをもとに論文の記述をしっかり行うことができました。
 午前Ⅱは,午後Ⅰ及び論文対策が終わってから,過去問を3年分解きました。
 これらの内容を地道に実施し,運よく一発合格することができました。

Dさん(平成29年合格) 150時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 最近は反復学習スタイルで勉強しています。弱い部分は,覚える事が苦手な所です。

②勉強に対する制約

 通勤時間が長いので,自宅での勉強時間の確保が困難な事です。

③本書を,どのように使ったか?

 まず以下のAを実施しました。その後Bを進め,CはBの合間に実施していました。
・A.演習問題以外の読込み
 以下の順で演習問題以外の部分の読込みから始めました。カッコ内は反復回数です。
序章(2)→1章(2)→2章(2)→序章(1)→1章(1)→2章(1)→3章(2)→4章(2)→5章(2)→3章(1)→・・・最終章まで
 3章分進んで前に戻ったのは,記憶が鮮明なうちに反復する事が,記憶の定着には良いと言われているからです。
・B.午後Ⅰ問題
 問題を解く上で,序章に記載されていた解き方・考え方の対策内容は,忠実に守りました。この対策を実施する事がベストだと,私自身も考えたからです。午後Ⅰ問題は自宅で帰宅後に1問のみと決めて,時間を計って解きました。
 1章(1)→2章(1)→3章(1)→1章(1)→2章(1)→3章(1)→4章(1)→5章(1)→6章(1)→4章(1)・・・最終章まで
 次の日の通勤時に前日の演習問題の解説を読んで答え合わせをし,三好先生やIPAの考える回答にならなかった場合の原因追求はもちろんの事,三好先生の考え方自体を頭に丸コピーするつもりで,記載内容を理解(人に説明できるレベル)し,解説を隅々まで,通勤時間往復2時間で可能な限り反復読込みしました。解説の反復読込み回数は解いた回数より多く,最終的に1問あたり合計6,7回程度になったと思います。
 ちなみに,午後Ⅰの問題数としては各章の計7問のみだと少ないと考え,各章の「午後Ⅰ過去問題」表中の優先度1の問題(Web上の計9問)をすべて印刷し,同じ要領で問題を解いて,通勤中に答え合わせをして解説を理解しました。
・C.午後Ⅱ問題
 午後Ⅱ問題は時間がかかり,体力を消耗するので,多くの問題は物理的にやりきれないと考えました。したがって,実際に時間を計って書いた論文は,書きやすそうな3問のみです。反復もしていません。
 本書各章の午後Ⅱ演習の解説部は,三好先生の考え方自体を頭に丸コピーするつもりで,午後Ⅰ同様に反復読みをしました。また,設問ア,ウの記載内容の準備と,プロジェクトの詳細な内容・状況の準備をしました。様々なパターンに対応できる様に内容をなるべく汎用的にして,しかもパターン分けした記載内容も準備しました。
・D.午前問題
 午前問題については,午前Ⅰ免除で,午前Ⅱ問題のみでしたので,過去8年分を2回反復しました。電車のホームで待っている時間など,隙間時間で勉強しました。
・E.その他
 序章の「おすすめの学習順序」について,結果的にこの順序で学習していましたが,効率の良い順序だと,振り返って思います。
 また,本書の「試験直前チェックリスト」ですが,試験1か月前ぐらいからこのページを印刷して持ち歩き,隙間時間でトータル10回ぐらいは読み込んだと思います。覚えようとはしませんでしたが,状況ごとの対応が反射的に浮かぶ様になりました。午後問題に役立つだけでなく,実際の業務でも役立つと思います。合格後も,職場の机の片隅に置いておきたいです。
 さらに,YouTubeには三好先生のプロジェクトマネージャ試験関連の解説動画もUPされています。こちらは隙間時間で全て確認しました。特に,午後2問題の解説は,大変参考になりました。本書である程度勉強した後に,講義形式の解説を聴く事で,論文を記述する上での重要事項をより意識出来る様になりました(相乗効果)。話も面白く,たまに笑ってしまったりして何度聴いても飽きないので,勉強に疲れてやる気が起きない時に聴くのも良いかと思います。

(5)いきなりPM試験

 情報処理技術者試験の全12区分のうち,論述試験があるのは全部で5区分。筆者の独断と経験則上から言わせてもらうと,「初めての論述試験」へのチャレンジは,システムアーキテクトかITサービスマネージャを選択する人が多い。応用情報技術者からのステップアップに,一番向いているからだ。逆に,難易度が高いのが,ITストラテジストとシステム監査になる。プロジェクトマネージャは,ちょうど真ん中ぐらいのポジションだろう。そのため,プロジェクトマネージャ試験に挑戦する人は,もう既に,システムアーキテクトやITサービスマネージャに合格しているか,論文対策をしている受講生であることが多い。
 しかし,その一方で,プログラミングや設計を経験せずにプロジェクトマネージャにとしてキャリアを積む人もいる。そういう人は,「初めての論述試験」がプロジェクトマネージャになることも。
 中には,将来プロジェクトマネージャになるからという理由で,未経験だがいきなりPM試験に挑戦する猛者もいる。合格しているからすごい。
 このような「いきなりPM試験」を受験しようと考えた場合,どのように取り組めばいいのだろうか。そのあたりの注意点を,いきなりプロジェクトマネージャ試験を受験した過去の合格者に聞いてみよう。

Aさん(平成31年合格) 140時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 勉強を長期間するモチベーションの維持が難しかったため,試験の1か月半前から,週4日時間を確保し,集中的に過去問を解くようにしました。午前問題は通勤の電車の中のみで,直近5年分を5回解きました。午後Ⅰは過去問を1日1問(45分+解説読み込み45分=合計90分)解きました。同じ問題を何度も見直す時間はなかったので,1問解くごとにポイントを別紙にまとめて,試験1週間前に読み返しました。午後2の論文試験の経験がなかったので,論文の書き方から本書で学び,PCで6個,分野ごとに論文を準備し,2回手書きで練習しました。

②勉強に対する制約

 通勤に1時間30分かかるため,勉強時間の確保が難しかったです。さらに子供が幼く,家では勉強時間を思うように取れませんでした。会社帰り,または休日の早朝・深夜の喫茶店で勉強しました。

③本書を,どのように使ったか?

 午後Ⅰは,優先度1の過去問をすべて解き,解説を理解できるまで読みました。「知識解答型」の答えをストックし,すぐに試験で思い出せるように意識しました。限られた時間で,膨大な過去問からどの問題を選定すべきか,自分では判断できませんでしたので,本書が非常に参考になりました。午後Ⅱは当初,別の論文用の参考書を購入し,準備をしていたのですが,論文の内容が高度すぎて自分で書けるイメージが湧きませんでした。本書は,実際に合格者が,時間制約のある試験で書いた論文の再現が掲載されています。合格論文のレベルを知ることができ,「自分でも書ける」という前向きな気持ちになりました。三好先生の解説で,各論文の改善点をコメントしていただけているので,自分の論文にあてはまる場合は,同様に修正することができました。

Bさん(平成31年合格) 200時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 読むだけではなかなか記憶できず,自分でまとめて,書くことで覚えるスタイルです。

②勉強に対する制約

 プロジェクトの進め方そのものに理解が足りない部分があったため,まず「プロジェクトマネージャとは何をする必要があるのか」というところの理解からスタートする必要がありました。なるべくまとまった時間をとって勉強したいので,夜,子供たちが寝てから,1?2時間程度を勉強時間に充てました。

③本書を,どのように使ったか?

 まずは序章を読み込み,試験の全体像や勉強の進め方を確認しました。その後,1章から順に問題を解きながら読み進めました。
・午後Ⅰ
 問題を解いた後は解説を熟読し,その解答の根拠を必ず確認しました。ダウンロードした過去問題にも挑戦し,一通り解いた後は,知識として覚えておくべきポイントや汎用性のあるポイント(例:工程を短縮する方法→クリティカルパスの短縮,要員を追加するリスク→引継ぎや立ち上げに時間がとられる,等々)をまとめました。問題を数多くこなし,ポイントをまとめることで,解答のコツがつかめた気がします。
・午後Ⅱ
 解説とサンプル論文を読み,頻出2分野について,論文を書きました。サンプル論文には,いいポイントだけでなくだめなポイントも書かれており,非常に参考になりました。自身で論文を書く時間がとれないときやちょっと勉強に疲れてしまったときにはサンプル論文を読むだけでも,論文の構成や含めるべき内容を把握するのに役に立ちました。

Cさん(平成30年合格) 200時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 長時間集中力を維持することが苦手で,午後Ⅰ問題や論文に取り組むのが苦痛でした。隙間時間を使った短期集中のくり返しスタイルが得意です。

②勉強に対する制約

 妻と子供2人の4人家族のため,家事手伝いや子供の部活動の付き添いをしながら,時間を作って勉強をしていました。本書とノートを常に持ち歩き,通勤時や仕事の前,子供が寝てから勉強時間を確保しました。休日の空いた時間はできるだけ,午後の過去問題や論文に取り組むようにしました。

③本書を,どのように使ったか?

 主に午後の対策として使いました。毎日の通勤で,本書に関連した著者の作成しているYouTubeの解説動画を次のセリフが出てくるくらいまで何度も聞いて,その内容を本書で確かめ,頭で組み立てた内容をノートに記載するという方法で,理解を深めていきました。

Dさん(平成29年合格) 400時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 自分の得意な勉強スタイルは勉強のタスクと締め切りを決めて進めていくスタイルです。例えば今月はPMBOKのスケジュールについて午後問題対策をすると決めて,毎週・毎日の勉強内容を決めていました。弱い部分は決めたスケジュールを守れない場合に当初の予定を満足できないことです。論文作成やイメージトレーニングでは想定より時間がかかることが多かったので他の勉強時間を減らしたり,勉強の範囲を減らしたりして対応しました。

②勉強に対する制約

 勉強に対する制約は毎日スケジュールした分の勉強をすることです。自分の性格として1日やらないと次の日もやらないことがあるので5分でも10分でも勉強を進めることで,前日勉強をしなかったので今日もやらないで良いやということがないようにしました。

③本書を,どのように使ったか?

 本書はPMの知識を収集するための教科書としたり,過去問題を解くときの指標としたりして利用しました。試験に出題される知識について網羅されているため,キーワードを暗記したり,見積り技法やスケジュール技法であれば自分で数値を入れてみてプロジェクトの規模によってどの程度差異が出るのか確認したりしました。また,過去問の解く優先度が記載されているためスケジュールを立てる上でとても参考になりました。優先度の根拠を参考に各問題で工程の最初から最後まで一通り網羅されている問題を優先して解くことでプロジェクトの進行と自分のプロジェクトのイメージとを合わせることができました。

Eさん(平成26年合格) 300時間

①自分の得意な勉強スタイルと弱い部分

 文章を読むことは好きなので,読み込み中心の勉強が基本スタイルでした。学生時代から暗記ものが苦手な私にとって最初の関門は午前問題でした。

②勉強に対する制約

 私は勉強時間捻出が制約となりました。幼い子供が2人いるため,週末は家族との時間を最優先し,子供が起きる前の早朝を勉強時間に充てました。平日は通勤時間中,始業前の時間,昼休み,帰宅前の時間を勉強時間に充てました。

③本書を,どのように使ったか?

 情報処理試験自体が初めてに等しいくらい何も分かっていなかったので,本書の「序章」を徹底的に読み込み,イメージを焼き付けました。そして,出題頻度の高いテーマを優先に取り組み,出題頻度の低いテーマは軽く目を通した程度にして思い切って捨てました。
・午後Ⅰ
 本書の解説でも記載のあったとおり,マークするポイントを意識しながら過去問題に取り組み,自分が間違えた問題や分からなかった箇所は原因分析をすることを心がけました(単に知識がなかっただけなのか,目の付けどころは良かったが回答表現が悪かったのか等)。
・午後Ⅱ
 まず,自分が論述するテーマを決めたうえで,本書の解説やサンプル論文を読み込みイメージを広げていきました。私の場合,普段ERPパッケージに関わる業務のため,それを題材にして,“人”のテーマを盛り込んだ論文作成の練習をしました。
 本書のコラムにもありましたが,初めて書く論文は苦痛でした。3時間かけても最低文字数も満たすことができず,落胆してしまいました。しかし,逆に準備していくべき事が少し見えた気がしました。
 午後Ⅱ対策がついつい後回しになってしまいがちでしたが,今思えばもっと早くから(学習開始直後から)始めておけば良かったと思います。