株式会社翔泳社(本社:東京都新宿区舟町5、社長:佐々木幹夫)は、書籍『ジェネリック医薬品の不都合な真実 世界的ムーブメントが引き起こした功罪』(Katherine Eban/著)を2021年8月26日に発売します。本書は、海外のジェネリック医薬品メーカーの一部が利益のために品質の偽装をしていることや、そうした事実に気付きながらも不正を追及しきれないアメリカの検査当局の状況など、医薬品業界の内情を暴いたノンフィクション翻訳書です。
    
■アメリカで大反響!ジェネリック医薬品業界の裏側を探る、衝撃のノンフィクション
 

ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に販売される、同じ有効成分を含む後発医薬品で、先発品より低価格で提供されています。
価格の問題で新薬の恩恵を十分に受けられなかった途上国の医療への貢献など、ジェネリック医薬品の登場は公衆衛生上の大きなイノベーションといわれています。しかし、それは、政府の医薬品審査機関の厳格な管理・監督のもと、ジェネリック医薬品メーカーが高い倫理観をもって「先発医薬品と変わらない薬効・安全性の薬を製造している」ことを前提とした話です。

近年、ジェネリック医薬品の製造管理や品質管理における不正問題が日本でも取り上げられていますが、ジェネリック医薬品をめぐる問題は今や世界的なものとなっているようです。

本書の著者であるキャサリン・イーバン氏は、アメリカで流通するジェネリック医薬品の品質に対する疑念を発端に、機密文書の調査や様々な関係者への緻密な取材をすすめ、次のような事実を明らかにしました。
 
  • アメリカで使われるジェネリック医薬品の大半はインドや中国などの医薬品メーカーより輸入されており、それらの一部メーカーでは、承認試験データの捏造や不衛生な環境での製造がおこなわれていること。
 
  • 世界一厳しいといわれるアメリカ食品医薬品局(FDA)は、インドや中国などの現地に査察官を派遣して医薬品の審査をしているが、その査察をすり抜けて、品質に問題のある薬が流通してしまうこと。(その背景には、査察システムの問題や医療費を削減したい政府の事情などがある。)
 
  • 品質に問題のあるジェネリック医薬品が、実際に米国の人々の健康を奪っていること。

この本で取り上げている事例は、日本国内のものではありませんが、グローバル化した現代において、医薬品の品質検査をどのような体制で行うべきかなど、これからの日本の医療安全を考える上で参考になるのではないでしょうか。


■書籍概要

ジェネリック医薬品の不都合な真実 世界的ムーブメントが引き起こした功罪
著者:Katherine Eban  翻訳:丹澤 和比古、寺町 朋子
発売日:2021年8月26日
定価:2,750円(本体2,500円+税10%)
判型:四六・544ページ
ISBN: 9784798168128
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798168128

全国の書店、ネット書店などでご購入いただけます
・翔泳社の通販 SEshop: https://www.seshop.com/product/detail/24493
・Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4798168122

■目次

第1部 パラダイムシフト
第2部 インドの興隆
第3部 追いつ追われつのビジネス
第4部 立証
第5部 暗闇のなかの探偵たち
第6部 分水嶺
第7部 報い


■著者について

Katherine Eban(キャサリン・イーバン)
調査ジャーナリスト。『バニティ・フェア』誌の寄稿編集者であり、優れた著述家として出版活動への支援を受けられるアンドリュー・カーネギー・フェローに選出されている。偽造医薬品、銃の違法取引、CIAによる強制的な尋問を取り上げた記事は国際的に注目を集め、多くの賞を獲得している。『フォーチュン』誌や『ニューヨーク・タイムズ』紙などにも寄稿しており、医薬品のデータの完全性保証に関する講演も数多い。
二冊目の著書である本書(原著名"Bottle of Lies: the Inside Story of the Generic Drug Boom"、二〇一九年五月刊行)は『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーとなった。