外出が困難な障害児を支援する新しいサービス「居宅訪問型児童発達支援」が始まった|翔泳社の本

外出が困難な障害児を支援する新しいサービス「居宅訪問型児童発達支援」が始まった

2018/01/16 09:00

 2018年4月1日に、改正された障害者総合支援法が施行されます。障害のある人たちが孤立せずに地域で暮らせるよう、いろんなサービスの仕組みを定めたこの法律の概要を解説する連載の最終回をお届けします。今回は比較的重度な障害児のための新しいサービス「居宅訪問型児童発達支援」についてです(※以下は『これならわかる<スッキリ図解>障害者総合支援法 第2版』から本文を抜粋し、紹介しています)。

外出が困難な児童の発達を支援

 居宅訪問型児童発達支援は、従来あった児童発達支援や放課後等デイサービスと同様のサービスを「在宅」でも受けることができるよう新設された制度です。

 対象は、従来ある通所型の児童発達支援や放課後等デイサービスを利用することができない重度の障害児に限定されています。なお、目的の一つとして、在宅で発達支援を行うことによって、通所型の支援につなげることができるようにするなど、社会生活の幅を広げる、ということもあります。

居宅訪問型児童発達支援の対象は?
居宅訪問型児童発達支援の対象は?

医療的ケア児も対象に

 ここでいう重度障害児とは、各種手帳制度において重度判定がなされている子どもだけではなく、人工呼吸器装着など、日常的に医療を受けることが必要な医療的ケア児、さらに重い疾患のために外出することによって感染症にかかるリスクが高く、外出して支援を受けることが困難な子どもも含まれます。

 医療的ケア児は、各種手帳制度に照らしてみると、等級が低く出たり等級がつかなかったりする場合も多くあります。しかし、日常的に医療的ケアが必要ということで、外部での支援を受けるとなると、医療的ケアを実施できる看護師などの専門スタッフの配置や、それぞれの症状に応じた機器の配置なども行わなければなりません。そのため、今までの支援体制では、受け入れたくても人員上、設備上、受け入れることが困難な状態にありました。

 今回の法改正によって、医療的ケア児でも発達支援を受けることができる土台ができることになり、家族の負担軽減にもつながることが想定されています。しかし、通所施設での医療的ケア児の受け入れ態勢が整ったわけではないため、今後も医療ケア児に対する支援のあり方については検討していく必要があります。

地域における医療的ケア児の支援体制の整備に向けて
地域における医療的ケア児の支援体制の整備に向けて
これならわかる〈スッキリ図解〉障害者総合支援法 第2版
これならわかる〈スッキリ図解〉障害者総合支援法 第2版

著者:鈴木裕介、遠山真世 編集:二本柳覚
発売日:2018年1月31日(水)
価格:1,944円(税込)

本書について

本書は専門職として制度について知っておくべき人、サービス事業者、相談支援専門員、医療職、自治体福祉関係者のほかにも、利用者本人や家族、障害者を支援する企業の担当者、申請をサポートする士業、福祉を勉強する学生さんなどにとっても、制度の概要や利用方法についてスッキリわかる一冊となっています。