大谷 佳子 著
相談、助言、面談、コーチング、1on1 等の場面では、相手に投げかける「質問」が重要です。
なにをどう問いかけるかによって、相手の反応が劇的に変わるからです。
本書は、さまざまな現場で、さまざまな人の相談にのる方のため、心理学をベースとした質問の技術を×◯形式中心に解説します。
なんとなくわかった気になるだけで終わらない、すぐに使って効果が実感できる本を目指しました。目次にある×の台詞から自分が言いそうな質問のクセを見つけたら、本書を参考に言い換えてみてください。日々、少し気を使って言い換えるだけでも、相手の反応は変わってきます。
質問の持つ6つの力と、心理学的テクニックを意識して使ってみれば、単なる質問が情報収集の技法としてだけでなく、相手の話したいことを引き出す、あるいは気づきをもたらすコミュニケーション・ツールへと変化することがおわかりいただけると思います。
■適当に質問していない? 言い換えてみよう
×「最近いかがですか?」
×「質問はありますか?」
×「何かよいアイデアはありませんか?」
×「いつも○○するのは、どうして?」
×「言っている意味わかりますか?」
■意識して使いたい! 質問の6つの力
1)情報収集する、2)確認する、3)人間関係をつくる、4)会話を豊かにする、5)思考を深める、6)相手に気づきをもたらす
■心理学キーワード
反応バイアス/誤前提暗示/べき思考/特定質問と拡大質問/未来質問/過去質問/スケーリング・クエスチョン/チャンクダウンする質問/例外探しの質問/解決志向アプローチ/コーピング・クエスチョン/ディソシエートとアソシエート/メタファー/リフレーミング
■著者
大谷佳子
Eastern Illinois University, Honors Program心理学科卒業、Columbia University, Teachers College教育心理学修士課程修了。
現在、NHK学園社会福祉士養成課程講師。医療、福祉、教育の現場の援助職を対象に、コミュニケーション研修及びコーチング研修、スーパービジョン研修などを行う。主な著書に「対人援助の現場で使える便利帖」シリーズの『聴く・伝える・共感する技術』『質問する技術』『承認する・勇気づける技術』『〈言葉〉以外で伝える技術』『傾聴する・受けとめる技術』(翔泳社)など。
■■Chapter1 まずはここから! 質問の癖を見直そう
▷大丈夫ですか?
QUESTION
01 心配事を確認したい ×「準備は大丈夫ですか?」
02 忙しそうな人に気遣いの言葉をかけたい ×「大変そうだね。大丈夫?」
▷○○はありますか?
03 わからないことがないか確認したい ×「質問はありますか?」
04 トラブルがないか確認したい ×「問題でもあるのですか?」
▷ちゃんと○○しましたか?
05 適切にできたか確認したい ×「先方に、ちゃんと説明しましたか?」
06 チャレンジした手応えを聞きたい ×「ちゃんとできた?」
▷わかりましたか?
07 説明が理解できたか確かめたい ×「ここまで、わかりましたか?」
08 言いたいことが伝わったか知りたい ×「言っている意味わかりますか?」
▷がんばっていますか?
09 仕事の話題を振る ×「お仕事、がんばっていますか?」
10 勉強の話題を振る ×「勉強がんばってる?」
▷やりますか? やりませんか?
11 意思を引き出したい ×やるの? やらないの? どっち?」
12 意見を聞きたい ×「それについては賛成? それとも反対?」
▷どうするべきだと思いますか?
13 個人的な考えを聞きたい ×「どうするべきだと思いますか?」
14 行動を振り返ってもらう ×「何をすべきだった?」
▷なぜ? どうして?
15 失敗の原因をたずねる ×「どうして、失敗したのですか?」
16 行動の理由をたずねる ×「なんで、そんなことしたの?」
〈使える質問フレーズ集1〉原因・理由をたずねる質問
▷ノーアンサー・クエスチョン
17 意欲があるか知りたい ×「やる気はありますか?」
18 作業が滞っている人に言葉をかける ×「いつまでやっているの?」
■■Chapter2 押さえておきたい! 基本の質問
▷クローズド・クエスチョン
QUESTION
19 挨拶で緊張をほぐしたい ×「こんにちは」
20 雑談で話題に困ったとき ×「そういえば、最近忙しくて、大変なんですよ」
▷選択肢つきクローズド・クエスチョン
21 テンポよく会話を進める ×「次回の面談はどうしますか?」
22 速やかに希望を聞き出す ×「飲み物は何がいい?」
▷オープン・クエスチョン
23 話に関心を示す ×「ふ~ん、そうですか」
〈使える質問フレーズ集2〉5W1Hをつかったオープン・クエスチョン
24 感想を引き出す ×「楽しかった?」
▷前置きつきオープン・クエスチョン
25 近況をたずねる ×「最近はどうですか?」
26 目標をたずねる ×「あなたの目標は何ですか?」
▷肯定質問
27 期日に遅れそうな報告を受けたとき ×「どうして、間に合わないのですか?」
28 「説明がよくわかりません」と相手に言われたとき ×「何がわからないのですか?」
〈使える質問フレーズ集3〉肯定質問
▷未来質問
29 事後報告されたとき ×「なぜ、もっと早く報告できなかったのですか?」
30 計画通りに進んでいないとき ×「今まで、何をしていたのですか?」
〈使える質問フレーズ集4〉未来質問
■■Chapter3 使ってみたい! 技あり質問
▷スケーリング・クエスチョン
QUESTION
31 自信のほどを知りたい ×「自信はどれくらいありますか?」
32 進捗状況を確認したい ×「どれくらい進んだ?」
〈使える質問フレーズ集5〉スケーリング・クエスチョン
▷仮定の質問
33 アイデアを求める ×「何かよいアイデアはありませんか?」
34 やりたいことをたずねる ×「あなたのやりたいことは何ですか?」
▷チャンクダウンする質問
35 発言のなかの抽象的な言葉を明確にしたい
×「「コミュニケーションがとれていない」って、コミュニケーション不足ってことですか?」
36 気後れして行動できない人を励ましたい ×「やってみなければ何も始まらないでしょ?」
〈使える質問フレーズ集6〉チャンクダウンする質問
▷例外探しの質問
37 相手が望ましくない行動を繰り返すとき ×「いつも遅れるのは、どうしてですか?」
38 人前であがってしまう人の相談にのる ×「人前で緊張することはよくあるのですか?」
▷コーピング・クエスチョン
39 困難を経験した人に言葉をかける ×「そんな経験をするなんて、大変だったでしょう?」
40 相手をやる気にさせる ×「あなたもやればできるはずです」
〈使える質問フレーズ集7〉自己効力感を高める質問
〈使える質問フレーズ集8〉コーピング・クエスチョン
▷ディソシエートする質問
41 多角的に考えることを促したい ×「あなたなら、どうしますか?」
42 客観的に自分を観察してほしい ×「今の自分をどう思う?」
〈使える質問フレーズ集9〉ディソシエートする質問
▷メタファー質問
43 わかるように説明してほしい ×「「その場の雰囲気がよくなかった」って、どうよくなかったの?」
44 相手とイメージを共有したい ×「その担当者は、どんな感じの人でしたか?」
▷リフレーミング質問
45 否定的な自己評価をする人に言葉をかける ×「そんなことはありませんよ」
46 思いがけない経験も糧にしてほしい ×「この経験は、よい学びになりましたね」
〈使える質問フレーズ集10〉リフレーミング質問
■■Chapter4 質問すると上手くいく! 12のコミュニケーション
▷教えないで気づかせる方法
METHOD
01 ヒントになる質問をする ×「そのままではダメでしょ」
▷受け入れやすくなる指示の方法
02 指示は依頼形で伝える ×「絶対に自分一人で判断しないでください」
▷効果的なアドバイスの方法
03 選択肢+発問で助言する ×「そういうときは、はっきり断ればいいんだよ」
▷歩み寄るためのアサーション
04 発言を促す質問をする ×「それをするのは難しいです。ご理解いただけませんか?」
▷頼み事をするときに相手をイラっとさせない方法
05 語尾に困ったら質問する ×「これをお願いしたいのですが……」
▷双方向のフィードバック
06 行動の意図を問いかける ×「そのような行動は、すぐ改めたほうがいいですね」
▷本当のやる気を引き出す方法
07 心が動く質問をする ×「始めたからには、最後までしっかりがんばって」
▷自尊心に働きかけるアクノレッジメント
08 “教えてほしい”質問をする ×「すごいですね」
〈使える質問フレーズ集11〉内発的動機づけにつながる質問
〈使える質問フレーズ集12〉承認する質問
▷アンコンシャス・バイアスへの対策
09 質問して思い違いを防ぐ ×「そんなこと言われたら、誰だってムカつくよね」
▷最適解を導き出す論理的帰結
10 質問で意思決定を支援する ×「A社とB社なら、絶対にA社がいいよ」
〈使える質問フレーズ集13〉意思決定をサポートする質問
▷成長につながるリフレクション
11 振り返り質問が学びを促す ×「次は、同じ失敗をしないようにしてくださいね」
▷セルフ・クエスチョンの潜在能力
12 自分への問いかけ方が思考を方向づける ×「なんで、未経験者の私にそんなことをさせるのかな?」
■■Chapter5 質問力を高める! 7つのポイント
POINT 1 質問は一度に1つ
POINT 2 質問は短く、シンプルに
POINT 3 質問は具体的に
POINT 4 答えたくなる一言をプラス
POINT 5 予備知識でレベルアップ
POINT 6 相手の考える時間を保証する
POINT 7 訊いたら、聴く
聴き方チェックリスト
聴き方チェックリスト 対策
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