AIはどの業界でどう活用されているのか?化粧品・日用品製造業と通信業の事例を紹介|翔泳社の本

AIはどの業界でどう活用されているのか?化粧品・日用品製造業と通信業の事例を紹介

2019/11/13 07:00

 AIを活用するには導入・開発前のロードマップを適切に作ることが欠かせません。自社のどんな課題に対して、どのデータを蓄積して業務を改善するのか、それが最初のステップです。そのための参考になるのが、業界・業種別のAI活用事例です。今回、『業界別!AI活用地図』(翔泳社)から、化粧品・日用品製造業と通信業における事例を紹介します。

マップの見方

マップの見方
本書掲載のマップの見方

 本書で提示するマップには、中央に活用例、上段にその実現難易度、左側に関わる部門や業務の一覧、下段に特徴や活用例の解説を掲載しています。上図を参考に、下記にて紹介する化粧品・日用品製造業と通信業のマップをご覧ください。

本記事は『業界別!AI活用地図 8業界36業種の導入事例が一目でわかる』からの抜粋です。掲載にあたり、一部を編集しています。

化粧品・日用品製造業:バーチャルメイクなどで顧客接点を強化

化粧品・日用品製造業
化粧品・日用品製造業におけるAI・データ活用マップ

広報業務の特徴

 化粧品や美容用品は、自身の体の状態に合わせて適切な効用を持つ商品を購入してもらう必要があります。そこで美容カウンセリングやヘルスケアサポートができる商品お薦めチャットボットが有効です。

商品企画・販売企画業務の特徴

 化粧品や日用品は、販促用のキャンペーン企画を行うことがあり、効果分析を行い企画を検討します。

 また、アンケート分析・SNS分析を行い、セット商品などの企画を行うほか、購買者の買い回りサイクルを分析して、詰め替え用のパッケージのサイズを検討するなどパッケージ企画も重要です。

 将来的にはサブスクリプション型の販売形態になることも考えられ、その際には、顧客へのレコメンドや離反分析などが有効になると考えられます。

製造業務の特徴

 化粧品・日用品の製造業務は、食品製造業などと同様に、需要予測に基づく生産計画最適化や品質評価などをデータやAIを用いて実施します。商品によっては、高温やガスを発生させる工程があることから、設備の異常検知によって安全を確保する必要があります。

物流業務の特徴

 日用品類は、大きさ、色、香りなどで種類が多いため、在庫を潤沢に確保すると在庫過多になり、倉庫スペースの不足や廃棄(安売り)などの問題につながります。

 そこで、需要予測に基づく在庫管理の効率化を行い、在庫量を適切にします。ロボットなどを活用して、倉庫内配置最適化や倉庫業務の効率化を行うことも有効です。

小売り(販売)業務の特徴

 化粧品は特に百貨店内やショッピングモールに販売店を作り、テストメイクを含めた対面販売を行います。

 店舗では、バーチャルメイクなど化粧品ならではの販売施策を行う取組みが始まっています。ドラッグストアは、各棚に陳列する商品が非常に多く、値段設定も含めて人が行うため棚の管理は手間がかかりやすい業務です。そのため棚割り最適化、価格設定、在庫管理・自動発注などの、業務を自動化・効率化する取組みが有効です。

活用事例──資生堂ジャパン:IoTスキンケアシステム「Optune」

 Optuneシステムは、専用マシン「Optune zero」と専用アプリ「Optune App」が、クラウドを経由し連携する。「Optune App」では、自身のスマホで肌を撮影するだけで、きめ、毛穴、水分量などの肌の状態を知ることができる。

 アプリで測定した肌データと気温・湿度などの環境データ、生理周期・気分・コンディションのデータなど、一人ひとりを知るためのさまざまなデータを収集・分析し、そのときどきの肌に必要なスキンケアのパターンを決定する。

活用事例──資生堂ジャパン:AIに美容相談

「LINEで美容相談」に、Webビューティーコンサルタント(WebBC)とチャットボットを連携させた「AIみみちゃん」を導入。「LINEで美容相談」は、LINEアプリをダウンロードすると利用できる、チャットでの美容相談サービス。

 ユーザーが相談内容を入力すると、「AIみみちゃん」またはWebBCが質問内容に応じて回答する。簡単な質問は「AIみみちゃん」を活用し、パーソナルな提案が必要な際は、実際に店頭で美容提案を行ってきた経験を持つWebBCに直接相談できるなど、内容によって使い分けが可能。

活用事例──ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング:笑顔診断

 機械学習を活用して人の笑顔を診断する「ラックス プレミアム ボタニフィーク フラワースマイル診断」をLUX公式Webサイト内特設ページにて公開。機械学習、ARが使われており、カメラを人の顔に向けるとAIが表情を解析。その人が笑顔になると撮影画面内の花が開花する。さらに、笑顔属性の中から、その人の笑顔に合った属性を診断する。診断結果は笑顔属性を表すキーワードのほか、「キュート/クール」、「ワイルド/清楚」、「ナチュラル/スタイリッシュ」のバロメーターを表示する。

活用事例──コーセー、デジタルガレージ、Style Works:パーソナルカラー判定サービス

 AIを活用したパーソナルカラー判定サービスを導入し、判定結果に基づいた一人ひとりに似合う商品提案を行う新サービス「パソカラ」の提供を開始。顧客のスマホから顔写真1日枚を読み込むだけで、瞬時に肌や瞳の色などの特徴に基づいてパーソナルカラーを判定する。

活用事例──花王:ヘアシミュレーター

 ヘアスタイリングブランド「リーゼ」のブランドサイトにて、AIが診断する本格ヘアシミュレーター「Style Change」を公開。スマホやタブレット端末で撮影した顔写真を基に、顔立ちや骨格、髪の長さをAIが分析。全600通りのバリエーションの中から、ヘアスタイル・ヘアカラーをパターン提案する。

通信業:通信品質維持にAIを活用しながら、新しいサービスにトライ

通信業
通信業におけるAI・データ活用マップ

広報業務の特徴

 通信事業はテレビやインターネットでのCMを多く行うことから、CMの好感度やCMの評判分析、他社の広報効果との比較についてデータを基に行うことが有効です(TV視聴率分析)。

営業業務の特徴

 通信事業においては、携帯電話・固定電話・インターネット通信の多くが他社からの乗換えや引越し、結婚などの生活環境の変化時の契約変更によって、新しい契約が発生しています。そこで、離反分析やアップセル・クロスセル分析など、現在の顧客が離反するかや、追加の契約をするかについて分析して顧客別の施策を検討します。

サービス提供業務の特徴

 携帯電話事業者は、通話・メール・インターネットの通信サービス以外にも多種のサービスを企画して提供しています。

 どこに何人の人が滞在しているかを推定できることにより、災害時の避難支援・渋滞予測・将来人口予測などの新しいサービスが検討され、開始しています。

販売店・カスタマーサービス業務の特徴

 通信事業は、契約の変更や端末の購入を販売店や電話、インターネットで行います。顧客対応の良し悪しが直接契約数の増減につながるため、顧客満足度を分析することが有効です。チャットボットなどによって、コンピュータが顧客対応を行うことも今後さらに進むと考えられます。

インフラ管理の特徴

 通信事業者は、通信の品質を維持することに多数の人手と費用をかけています。通信トラフィックの予測を行い、混雑するところに関して、基地局の増設や設定変更を行います。また、展示会、スポーツ、音楽、祭りなどの大規模イベントにおいては、その需要を予測して、移動基地局などの対策を行います。ネットワークの故障・異常検知や侵入検知を行うことで、不測の事態を防ぐことも重要です。

活用事例──NTTドコモ:乗車需要予測

 AIを活用したリアルタイム移動需要予測技術で未来のタクシー乗車需要を予測するサービス「AIタクシー」を提供。人口統計データ(モバイル空間統計)とタクシー運行データなどから、未来のタクシー乗車台数をエリアごとに予測。

活用事例──ソフトバンク:ネットワークの監視

 監視システムから上がってくるアラート(警告)を、IBMのAI「Watson」を使って順位付けし、対応。ネットワーク保守部隊の監視業務で、アラートの発生から対応までの時間が10分の1に短縮。

活用事例──NEC:通信事業者ネットワークの運用効率化

 携帯電話の基地局と基地局制御装置をつなぐモバイルバックホールの設計計画・運用業務を効率化。AIの予測結果に基づく最適な定期保守が可能になり、保守効率の改善が期待できる。

活用事例──KDDI、エリクソン・ジャパン:ネットワークの最適化

 通信品質のさらなる向上を目的として、AIを活用したネットワーク最適化の手法を開発。AIが自律的に各基地局から収集したデータを基に最適なパラメーターの提案を行い、調整が可能となる。ネットワーク全体のデータ収集・分析と各種パラメーターの策定の工数が短縮される。基地局ごとに個別調整が容易となるため、さらなる通信品質の向上となる効果もある。

業界別!AI活用地図

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業界別!AI活用地図
8業界36業種の導入事例が一目でわかる

著者:本橋洋介
発売日:2019年11月6日(水)
価格:2,400円+税

本書について

金融、流通、製造、インフラなど全8業界36業種のAIの導入について、どのような分野で活用されているのか、どのような事項との親和性が高いか鳥瞰図で解説。実例も掲載しており、ビジネスのアイデア創出にも応用できます。