社員インタビュー:書籍編集者

大久保 遥(書籍編集者)

ウェブメディアとの連携の可能性に魅力を感じて

― 編集者を目指したきっかけと、入社までの経緯を教えてください。

何かものを作りたい、企画したいというところから就活をスタートしました。大学の時に映像作品を作るサークルにいて、ものを企画したり考えたりして作ることが楽しいなと思って、自由度がある企画立てができる職種につきたいと考えました。

1社目が編集プロダクションでムック本や料理本などジャンル問わずで編集を、前職が出版社で、私はビジネス書をメインに英語の本の編集業務も行っていました。そして翔泳社にビジネス書の部門があると知り、そこで私の知識も生かせるんじゃないかと思って応募しました。

また、翔泳社にはWebメディアがあったので、情報の共有ができそうだというのも入社のきっかけでした。例えばMarkeZineで連載している著者に本を書いてもらうとか、編集部で本を出すときにその本をMarkeZineで紹介したりとか。それができるのって翔泳社の強みですよね。

編集に専念できる出版社、頭ごなしに否定しない編集部

― 入社前も編集をされていたとのことですが、翔泳社と前職でなにか違いはありますか?

翔泳社は分業制度がしっかりしていて、編集の仕事に集中できます。例えば前職では読者問い合わせ先が編集部の電話番号だったので、読者の人と直でやりとりをすることが多かったのですが、翔泳社には専用の読者問い合わせ先があり、そこで読者質問を受けてくれています。

プロモーションの面も、以前は書店に飾るポップを自分で作っていたのですが、翔泳社では販売推進(書店向けの営業部隊)で作ってくれますし、2019年度からマーケティング部という部門が新設され、その部署でプロモーションを支援してくれます。制作の部署だけではなく、デジタルとアナログを駆使して読者に届ける部署が自社にあるのは、編集者にとっても頼もしく心強いです。

出版社によってはプロモーションを編集者が担うケースもあるのですが、大体制作に追われてしまい優先順位が下がってしまうのが正直なところです。作ることに集中できる環境があるのはありがたいですし、他社との違いではないでしょうか。

― 入社してから、どんな仕事をしていますか?

書籍編集部第6課でビジネス書の企画から編集までをしています。部署は相談しやすい雰囲気で、困ったらフォローしてくれる体制があります。企画会議のときも基本的には「この企画でいくにはどこを改善したらいいか」の方向で考えてくれるのがすごくいいなと思います。どうしたら良くなるのかを教えてくれて、頭ごなしに否定をしないっていうのは、企画者にとってとてもありがたいです。

― 編集者としてのやりがいはどんなときに感じますか?

一番のやりがいは、やっぱり本が売れることです。あとは著者さんに感謝されること。以前著者さんから「本を読んだ人から仕事の依頼が来た」とお礼を言っていただきました。そのとき、本を企画することで他の人に良い影響与えられるのってすごいことだなと感じました。

あとはアマゾンのレビューで褒められるのも意外とうれしくて見てしまいますね。自分の考えた見出しを褒められたり、仕事で役に立ったというコメントをもらえるとうれしいです。

苦手意識から生まれた『IT用語図鑑』

― これまで担当してきた中でいちばん印象に残っている仕事はなんですか?

自分の悩みをちゃんと本にできて結果につながったという意味で、『IT用語図鑑』は一番思い出深い仕事です。書店員さんの賞で選んでいただけたのもうれしかったです。

入社当時はITのことが全然わからなくて、むしろ苦手という意識すら持たないくらいITに対して何も思っていなかったんです。でも翔泳社に入ったら詳しい人も多いので、よくわからない言葉が飛び交っていました。あるとき「まだWord使ってるの?」と言われて、ついていけないと思いました(笑) 。

分からないことをネットで調べても、文字で読むと余計難しくなっちゃうし、分からない言葉で説明されているので、調べ続ける連鎖が続きます。既に出ていた類書では、パソコンのマウスの解説とか「そこはいいよ」みたいなところから始まっていたので、『IT用語図鑑』を作りたいと考えました。当初はたしか真面目な辞書のようなものを考えていたので微妙な反応もあったんですが、周りの人たちからコンセプトへの賛同や、イラスト化のアドバイスなどをいただけたおかげで、いまの『IT用語図鑑』を作ることができました。

―今後の目標などがあれば教えてください。

今後の目標としては、「発売即重版」となる本を作りたいです。売れる本を作りたいというのは入社した時から変わらない目標です。売れる本=役に立つ本でもあると思うので、いろいろな人が知りたいと思っていることを本にして出していきたいです。

「気が付ける人」と働きたい

― どんな人と一緒に働けるとうれしいですか?

いろいろなことに気がつく人と一緒に仕事ができるといいなと思います。例えば私の先輩だと、企画を出したとき、1つのことに対してすごくアドバイスをくれるんですよ。収支がどうしても赤字になる時に、こうしたらもっとコスト下げられるんじゃないかと、提案を2つ3つ出してくれたり。そういうアイデアが出せる人がいいなと思います。

基礎のスキルのことを言えば誤字脱字を見つけられることもあります。意外と世に出ている本でも誤字脱字ってありますから、そういう時に違和感を持てるといいですね。

あとは多趣味な人だと、いろいろな企画を思いつけますし、多方面に知識がある人の方が他の人へのアドバイスもできると思います。

あと、基本的なことかもしれないですが、やっぱり本が好きな人がいいんじゃないかと思います。本を読まなくても他のところからアイデアを出せると思うかもしれないんですけど、本の特性を理解したりもできるように、本を読むのが苦じゃない人がいいと思います。

インタビューを終えて:井上 奈緒子(書籍編集者)

翔泳社には自社本が並ぶ本棚があるのですが、そこで面白そうと思って手に取る本はいつも大久保さん企画のものでした。知りたい内容が手に取りたくなる言葉で書かれている。それって単に売れる売れないということの前に、読者に対してとても親切で誠実なものづくりですよね。

今回のインタビューでは「売れる本とは役に立つ本のこと」という言葉が特に身に沁みました。新人の私は企画を作るとついつい「やりたいこと」や「できたらいいこと」が前に出てきてしまいます。そんなときは大久保さんのこの言葉を思い出し、この企画は読者の知りたいという気持ちに真摯に向き合えているのか!と、自分に問いかけてみなければと思っています。

インタビュアー&執筆:井上 奈緒子(書籍編集部)/ 撮影:市川 証

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