社員インタビュー:書籍編集者

山田 文恵(書籍編集者)

編プロから出版社へ。きっかけは出版の学びと企画への思い

― 翔泳社に入社したきっかけを教えてください。

前職が女性向け実用書専門で幅広くやる編集プロダクションで、そこに4年くらい勤めていました。商業出版に編集者としてかかわるのはそこが初めてだったんですが、編プロは下請で忙しく、いきなり現場に投入されてレシピ本を1冊担当してほしいと。シリーズものだったので同僚と一緒にやりながら現場で覚えていく、という感じで編集のスキルは自己流でした。企画は出版社から下りてくることもあれば、こちらから提案することもありますが、私は企画するのが好きで、2年目くらいから自分の企画で受注した仕事が多くなりました。ですが、編プロに下りてきた仕事で手が埋まってしまい、企画した仕事は他の人にふることになってしまったり、年間作る冊数が13冊でちょっとバランスがおかしいなと感じたりして、フリーになることを考えました。ただ、出版社を経験せず、編集のセオリーも知らずにきたので、その状態でフリーになっても行きづまるかなと思い、一度出版社に入ろうと思ったんです。翔泳社が実用書を出していることは知らなかったんですが、当時「みんなの日記」シリーズの後任を募集しているのを見て応募し、ご縁をいただきました。

― 今山田さんはどのようなお仕事を担当されていますか?

実用書を担当しています。「みんなの日記」がオンラインに移行してからは、新しいシリーズの「暮らしの図鑑」を始めました。内容は狭くせずに何のテーマも取り入れやすくしていますが、まずは「物」としてかわいいものにしようと。情報はWeb上に多くあるので、判型や装丁も手元に置いて楽しめるようにと思っています。女性向けの実用書は3~4年で売りきるものが多いんですが、長く売っていけるように価格帯も調整して付加価値をつけることを考えたシリーズです。「暮らしの図鑑」を年2~3冊出すことをメインの柱にして、他にカレンダーや単発の実用書を作っています。

色々な人の世界が広がることが喜び

― 編集をしていて嬉しかったことは?

書籍が増刷されたら嬉しいです(笑)。あと、著者さんたちから「こういう反応もらいました」と教えてもらったとき。特に内容について褒められると嬉しいですね。自分が編集したハンドメイドの書籍を読んだ方が、実際にご自身の手で作ったものを見たときも嬉しいなと思います。

― 山田さんにとってやりがいを感じる瞬間はどんなときですか?

これまでは、売上ももちろん考えていましたが、企画の新しさや価値を優先して、自分がおもしろいと思った人のエッセンスを書籍にできるのがやりがいでした。今はここに加えて売行きをもっと意識していきたいと思っています。際立っている作家さんを見つけて、その作家さんの書籍を作って色々な人に知ってもらい、作家さんの世界が広がると良いなという気持ちがあります。

― 今後の目標を教えてください。

売れる書籍を作ることです(笑)。本にお金をかける人が少なくなる中、実用書で売れる本ができるかな、と。実用書はジャンルが広いので、その中のジャンルを何にするか、それぞれの生活にかかわるテーマを見誤らないように、ターゲットにしっかり届けて少しずつ売り伸ばしていきたいです。ひとまずこの1~2年は色々とやってみながらフィードバックしつつ上手くいったものは「暮らしの図鑑」みたいに継続して出せればと思っています。

編集者として遠慮することはない

― どんな方と一緒に働きたいですか?

自分が企画を考えるのが好きなので、アイデアを出して相談しあえる人が良いですね。私自身腰が重くてできないことがある分、そのように仕事したいなという気持ちもあります。実現できるかどうかは別にして、おぼろげなイメージでも共有しあえるといいなと思います。

― 書籍の編集者に向いているのはどのような方でしょうか。

周りがちゃんと見える人でしょうか。自分でやりたいことをイメージできる、ということはもちろんですが、著者や上司、同僚、営業などいろんな人と協調してやる仕事でもあるので、きちんと周りを見える人が良いんじゃないかと。言いたいことを我慢したり、この人はこう思うから言わないでおこう、ではなくて、色々な意見を持った人の中で自分が何をすべきで何をしたいか、が分かる人。決して遠慮する必要はないと思います。私も第一線で活躍している人を相手に遠慮してしまって、自分は編集者としてこう思っているのに、我慢してしまうことがありましたが、結局後々問題になってしまう。編集者としてディレクションしている立場から、それぞれの人の思いも考えつつ、自分の意見は言った方が良いなと。間違っているのに折れないというわけではなく、自分がどういう意図で企画し、どうしたいかという点はどんどん発言して良いと思いますし、できる人が向いていると思います。

インタビューを終えて:多田 実央(書籍編集者)

これまでも山田さんとは色々とお話をする機会はありましたが、今回仕事に対する考え方やこれまでの背景を伺うことができてとても勉強になりましたし、励みにもなりました。山田さんが作られた実用書を読んでかわいいな、素敵だなと思うことが多かったのですが、編集者として企画に対する向き合い方と作家さんや読者の方の世界を広げたい、という思いを聞いて手に取りたくなる理由が分かりました。

私は編集未経験で入社し、まだまだ勉強することが多いです。「これを言うとまずいかな、やめておこう」というのも経験がありましたが、読んでくれた方や著者の皆さんの世界を広げられるような編集者を目指して、書籍作りに向き合っていきたいと思います。

インタビュアー&執筆:多田 実央(書籍編集部)/ 撮影:市川 証

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